最期は生き抜いた者だけが知る。
まとめた書類にまたひとつ、判子を押した。
警察沙汰になった事件、僕らに任された事件。
全部「彼」、椿くんが起こした事件。
彼は自らの命を絶つことで、それを終わらせた。
中途半端の高さのビル。
即死でもなく、一部潰れて一部のこって、蒼空さんとは違う死にかた、葵くんともまた違う、解放というよりも詰んで、罪を償っただけの無くなり方だった。
亡くなるというよりも、無くなる。
彼はもう、彼じゃなく、呪われて、また呪われて死んだ。可哀想だ。
彼は死ぬ直前まで、曲を聞いていた。
あの曲を。
聞いた者は、なにかに狂うようになるあの曲を。
「永眠」という名の、不思議な曲だ。
…蒼空さんは、すごいものを残していったのだ。聞いたら死ぬ曲、その黄金比を感覚だけで割り出して、曲を作って。
絶えぬ自殺者、錯乱者、行方不明者、彼女、彼は、誠人くんのために、罪をかぶって逝った。
永い眠りに、落ちて、引きずり落として逝った。
僕は、彼らが幸せになることを祈っている。
ただ、他の世界で、幸せになっていることを、望んでる。
もうにどと、こんなことは起きないで欲しい。
神よ、どうか、許してくれたまえ。
永眠、長く眠る。
それが救済で、解放なのだから。
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