あとがき
原型は、2002年、かぐや姫美術館に行ったあと、二カ月くらいの間にできました。創作ノートのメモによると、「2002.10.21 中秋の名月から一か月」だそうです。
かぐや姫美術館で聞いた話が心に残っていて、何か物語を書きたいと思い、書いたものです。
かぐや姫美術館で聞いた話とは、
・月の世界は、どんな小さな罪も許されない、真っ白な場所なのではないか。
・かぐや姫は、その場所から逃げだしたかった。そして、罪を犯したとされているが、その罪とは、恋がしたかった、ということではないだろうか。
・以前来たお客さんが考えてくれた話。「かぐや姫はもう一度地球に行きたくて、身を投げた。その体は、どんどん小さくなって、やがて花の中に落ちた。→おやゆび姫」
というようなこと。
私なりにかぐや姫の物語の続きを考えるとしたら、どうなるだろう?
そうして出来上がったのが、「月は白く輝いて」でした。
”原型”で描いていたのは、現代のシーンだけでしたが、この世界が出来上がると、それまでにあったであろう、いろいろなシーンが想像できてきたので、それらも入れて、構成を改めて、今回なんとか形にしたものです。
書いてみると、最初、一番裏表がなくてまっすぐそうだった夜絵が、一番深いキャラになったな、と思っています。
私は、夜絵が大好きです。
たいていの人間が恐れをなし、それを得た人物が深く思い悩む物語が少なくない、「永遠の命」について、ためらいもせず自らその運命に飛び込んで、後悔ひとつしないで、人生を永遠に楽しめる。思ったよりも深いキャラになったけど、それは決して夜絵の人生に陰りを落とすものではない。きっと、これからも強くたくましく、生きていくのだろうな、と思うのです。
夜絵の心の中、また、高宮や輝夜の心の中を描く物語も書けるとよいなあ、と思っています。
次回、番外編出します。
※予定
番外編1「いざよひ」
番外編2「流星雨」
※おまけ “原型”時、初期キャラクター紹介(2002年)
<CHARACTER>
竹中輝夜(TAKENAKA TERUYO):別名「かぐや姫」。元月世界の流刑者。罪を許されて地球を去るとき、親しい人々に不老不死の霊薬を残した。月に帰って後、50年経ってからまた地球に戻ってきたらしい。昔は夜絵と二人、最強のお転婆コンビだったと思われるが、最近は生きるのに疲れて無気力になっていた。
観月夜絵(MIZUKI YAE):地球時代のかぐやの親友。かぐやが月に帰る時に残した不老不死の霊薬をためらいもなくのんで、50年間かぐやの帰りを信じて待った。が、その間も彼女なりに人生楽しんでいたと思う。かぐやとの再会以後は千年以上ずっとつるんでいる。人生永遠に楽しみ続ける人。たぶん一番変人だと思う。
高宮光貴(TAKAMIYA KOKI):遠い昔帝だった人の生まれ変わり。現中学校理科教師。かぐやが残した薬を中途半端にのんだため、魂だけ不死になったらしい。同じ人物の記憶を持ちながら、別人として生まれ変わっては死ぬということを永遠に繰り返す、結構悲劇の人。
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