記憶の海

古井 朔

記憶の海(短歌8首連作)

記憶の海 おぼれてボクら沈みゆくいだ水底セイレーンの歌声


やはらかに海月くらげの骨を穿うがたれし君は知らない虚数の意義を


ゆるやかに流れゆく水底にいつしか積もる記憶の小石


思い出が剥製はくせいになる夏至げしの朝あのときもっと耳を澄ませば


ゆるすとか許さないとかどうでもいい今日咲いたあの花はいつ散るの


まどろみの島にて眠る花を摘みうつろな短夜みじかよサティ聴く


思い出がタイムラプスのアルバムに消えては浮かぶいつわりの記憶


紫陽花の無限の前にうでをふり辿たどり着けない記憶の余韻

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記憶の海 古井 朔 @izayoi_2023

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