第9話「鶏が先か卵が先かのような話になってしまいます」

 お義父様方に泊まらせていただきますと言ったら、大歓迎を受けました。使用人の皆さんからも。なぜでしょう?


 不思議に思いながらも夕食を終え、レヴィ様と私は部屋に戻ります。




「とても楽しい時間でしたね。ご飯も美味しかったです」


「いつも美味しい食事を作ってくれて、ロティを笑顔にしてくれた料理人には感謝せねばですね。本当は私の手で笑顔にしたいところですが」


「レヴィ様はいつも私を笑顔にさせてくださいますよ? 先ほどもそうです。レヴィ様が泊まらないかと誘ってくださっていなければ、あんなに楽しい時間は過ごせませんでした」


「ロティがいたからこそ、あんなに和やかで楽しい時間になったのだと思いますが……、そう言ってくれてありがとうございます」




 私がいたからこそ、ですか……。私はレヴィ様がいたからこそ、だと思いますがね。そもそもレヴィ様と出会ってなければ、レヴィ様がいなければ、私は……。


 ……ダメですね。鶏が先か卵が先かのような話になってしまいます。

 何か別のことを考えましょう。せっかくなら楽しいことがいいですね。


 そう考えた瞬間でした。




「……っ!?」


「ロティ!?」




 突然現れたは私の真後ろに。

 この気配は、あの時の……?




「ぅ、はっ……ぁ」




 息が、できません。

 体が、動きません。


 どうして……? あの時以来、ずっと来なかったのに。



 ————怖い。



 濃い魔法の気配を感じたと同時に、私の意識は暗闇へと沈んでいきました。

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