魔界十六神将
「更に因みにですけど。マオーはああ言っていましたが、魔界十六神将はちゃんと存在しています。何故なら――誰かまでは私も知りませんが、魔王ランキングの2位~17位の魔王16人の事を魔界十六神将と呼ぶからです。魔界wikiにもそう書いてありました」
というsiriの言葉にクロスは。
「……ま、魔界にもwikiあるんだ」
と最早この程度では驚かないか、呟く程度にとどまるクロスに。
「あります。主に『ドスコイ! プリキュア』の記事ばっかですけど」
「ド、ドスコイ……プリキュア?」
ゴクリと喉を鳴らすクロスに、siriは相も変わらずいつも通りのトーンで。
「はい。日曜の朝にやっている女児向けの魔法力士ドラマです」
「実写なのっ! 確かにあそこの枠って仮面ライダーとか戦隊ヒーローって実写続きだけど――。魔法少女じゃなくて魔法力士なのにターゲット層が女児ぃ?」
「Yes! ドスキュア。爽やかイケメン力士揃いの魔法バトルファンタジー推理ドラマです」
「イケメン力士揃いなのにスポーツドラマじゃなくて推理ドラマってカオス過ぎるでしょう?」
まあ、だからこそwikiでまとめておかないとついていけない女児が多いのだろう。
しかしそれはそれとして、ぬるいを通り越して冷たくなったお茶を「ズズズ」と啜っている魔王を尻目に気を取り直すかクロス。
「いや、てゆーかそんな話は置いといて。個人的には魔王ランキングの1位〜16位じゃなくて2位〜17位の16人が魔界十六神将ってのが気になったんだけど――なんで1位は外れてるの?」
これに茶を啜っていた魔王は一度だけsiriと視線を合わせると、湯呑をテーブルへと戻し重く口を開く。
「実は1位は別格でな……強さの次元が我々とは違う……別次元の存在と言っても過言ではない」
「そ、そんなに違うんだ?」
表情が固まるクロスに魔王は静かに首を縦に振り。
「うむ。わかり易く例えるなら私やsiriがシリアスキャラならば1位はギャグキャラだ。それくらい次元が違……」
「うん。たぶんそれ逆だと思う」
魔王に最後まで喋らせず、神速で異議を唱えるは無論
「逆? つまりわかり難く例えるなら私やsiriがデータキャラで1位がデータを捨てたキャラという事か?」
――と。
「マオー! 私のデータにそんなキャラは存在しませんっ!」
と、掛けてもいないメガネをクイクイするsiri。
「いや、だからあなた達のそういうところがギャグキャラなんだって。……これは確実に1位の人がガッチガッチのシリアスキャラで、真顔で魔王さんやsiriちゃんを引っ叩いて注意してきたんだろうなぁ」
このクロスの言葉に魔王は両腕を組み。
「うむ。まあ否定はしないが1位はどちらかというと『はぁっはっはっはっ!』と高笑いをしながらグーで私達を殴ってくるタイプだな。とまあそんな訳で今の魔界は1位が2位以下に任せて、2位以下の魔界十六神将が全体を支配しているというのが実情だ。そうだな……魔界十六神将が魔界のピラミッドの頂点に君臨し、そのピラミッドを上空から見下ろしているのが1位と言ったところだな」
「え……最初っからそれ言ってくれた方がわかり易かったのに……」
ご尤もな本音を零すクロスに横からsiriが続ける。
「そしてそのピラミッドから弾かれた――1位とは真逆でピラミッドを下から見上げている、例えるならスクールカースト最下位の特殊な訓練を受けた便所飯がウチのマオーです」
「あ、それはすっごいわかり易い!」
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