魔王と十字架
牛丼屋に入った魔王とsiriと美人ミニスカサンタはとりあえず牛丼の松、竹、梅を注文していた。
梅を注文したのはミニスカサンタで、これは普通の牛丼並の事である。
次に松を注文したのは魔王で、これは牛丼にポテトとシェイクが付いてくるセットの事である。
そして最後に牛丼の竹を注文したのはsiriだが、これは牛丼に竹が刺さっているセットの事である。
因みにsiriはアンドロイドなので食事を摂る必要はないのだが、食べたら食べたでそれをエネルギーに変換する事が出来るので食事をする事もある。更に因みにだがエネルギーを搾り取って残ったカスは尻からかりんとうみたいなマショマロとして排出される。
なので――
『いただきます!』
3人は顔の前で両手を合わせていた。
そしてミニスカサンタはホカホカの牛丼の上に紅しょうがと七味を少々乗せつつ。
「それで? あたしに質問て何?」
これに魔王は摘まんでいたポテトを飲み込んでから。
「うむ。それなのだが――貴女がミニスカサンタの格好をしているのはサンタクロースガチ勢だからだろうか?」
と魔王がここまで言うと。
「それともあなたがサンタクロースの眷属だからなのですか?」
と身を乗り出して質問をしたのは、ホカホカの竹の上に紅しょうがと七味を少々乗せたsiriだった。
「……へ?」
美人がマヌケ面で頭の天辺から声を出す。しかしすぐに――
「あっはっはっ。ちょっと待って。そんな質問のためにあんな事したの?」
と片手で腹を抱えるミニスカサンタ。
「うむ。何かおかしいだろうか?」
言いながら物凄い勢いで牛丼をかき込む魔王に――ミニスカサンタは意地悪な笑顔を浮かべ顔の前で両手を合わせる。
「あ~ゴメンゴメン。バカにしたつもりはないんだけどさ。うん、そうだよ。あたしはサンタクロースガチ勢。あなたが言ってたようにクリスマス関係なしに普段からこの格好をしてる。ディズニーハロウィーンにもこの格好で行くくらいのガチ勢」
「っしゃぁあああっ!!!」
両の拳を胸の前で握り、神速で立ち上がる魔王。
「バ、バカな……」
――とは対照的に、人目をはばからず両手と両膝を地について項垂れるsiri。
「え? 何? なんか大丈夫彼女?」
と、心配そうにsiriの後頭部を眺めながらもヒョイヒョイと牛丼を口に運んでいくサンタクロースガチ勢。
「ああ、心配ない。いつもの事だ。そして良かったらこれも飲んでくれ」
と言って満足そうに魔王はシェイクをミニスカサンタに渡すが、そもそもそれは彼女の金で買った物である。
そしてどうやら魔王とsiriは、彼女が何故ミニスカサンタの格好をしているのかで勝負をしていたようだが――
――その勝者たる魔王は得意気に、悠々とイスに座り両腕を組んだ。と同時にある事に気付く。
「そういえば――まだ名前を伺っていなかったが……宜しければ教えて頂けるか?」
魔王が訊ねればミニスカサンタは嫌な顔一つせずに。
「名前? 別に全然いいよ。あたしは『山田 十字架』。よろしくね」
「ほう『
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