第5話 捜査本部設置
氷川光一警部が出勤すると、警視庁の一角が騒然としていた。捜査本部の設置が決まり、全員が集められた。氷川はデスクに腰を下ろし、深呼吸を1つして気持ちを整える。
「皆、これからの捜査会議を始める。現時点での情報を共有し、これからの方針を決めるぞ。」
氷川の指示で、会議室に捜査班のメンバーが集まった。中原淳一警部、田宮晶子、芝岡雄三、その他の刑事たちが勢揃いする。
会議の開始
「まずは、これまでの進捗を確認しよう。」氷川は開口一番、話し始める。「佐々木佑紀の殺害事件について、何か新しい情報はあるか?」
中原が立ち上がり、手に持ったファイルを開く。「はい、氷川警部。周辺の防犯カメラ映像を解析しましたが、佐々木佑紀が殺害された当夜、犯人と思われる人物が日本橋付近で目撃されています。ただ、顔はマスクで隠されており、特定には至っていません。」
「それでも、犯人の動きが確認できるのは大きな進展だ。」氷川はうなずきながら言った。「田宮、君は聞き込みの結果を報告してくれ。」
田宮はメモを見ながら話し始める。「佐々木佑紀の友人たちから話を聞きました。彼は東海道五十三次を同級生たちでめぐるのが夢だったようです。また、最近何かに怯えている様子だったと証言しています。」
「怯えていた?何か心当たりはないのか?」氷川が問いかけると、田宮は首を横に振った。
「具体的な理由については誰も知らないようです。」
「そうか…。」氷川は考え込む。
次に、芝岡雄三が立ち上がり、インクの鑑定結果を報告する。「佐々木佑紀の現場に残されていた紙のインクですが、特殊な成分が含まれていることがわかりました。市販されているものとは異なり、特注品ということがわかりました。今25店舗中13店舗に当たりましたが手がかりはありません。」
「特注品か。それならば、製造元を特定すれば犯人に近づけるかもしれない。」氷川は手帳にメモを取る。「芝岡、その線でさらに調査を進めてくれ。」
情報の共有と捜査方針の決定
会議はさらに続き、各メンバーが次々と報告を行った。宮川隼人と原宮翔太についても、それぞれの行動や交友関係が洗い出され、今後の聞き込み対象としてリストアップされた。
「次の一手として、我々は全力で犯人を追跡する。」氷川は決意を込めて宣言した。「まず、佐々木佑紀の友人たちに再度聞き込みを行い、彼らの過去のトラブルについて詳しく調べる。また、防犯カメラの映像をさらに解析し、犯人の特定を進める。」
「了解しました。」中原が返事をし、他のメンバーもそれぞれの役割を確認した。
会議の終わりと新たな展開
「これで会議を終わる。各自、捜査に全力を尽くしてくれ。」氷川の一声で、メンバーはそれぞれの持ち場に散っていった。
氷川はデスクに戻り、資料を整理しながら、次なる一手を考える。佐々木佑紀の殺害が起点となり、東海道五十三次の旅が彼の夢であったこと、その夢が今、悪夢へと変わりつつあることを痛感していた。
「この手がかりが、事件の全貌を明らかにする鍵になる。」氷川は心の中でそう決意を新たにした。犯人との決戦の時が、徐々に近づいているのを感じながら。
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