氷川警部の大捜査シリーズ 東海道五十三次連続殺人と引き裂かれた友情

第3話 聞き込み調査

翌朝、氷川光一警部は警視庁の会議室に部下たちを集めた。昨日の佐々木佑紀の殺害事件についての情報を共有し、今後の捜査方針を話し合うためだ。

「皆さん、佐々木佑紀の殺害はただの偶然ではない。我々はこの事件の背景を明らかにしなければならない。」氷川は真剣な表情で話し始めた。「中原、防犯カメラの映像はどうだ？」

中原淳一警部はモニターを操作し、映像を再生しながら説明を始めた。「ここが日本橋の現場周辺です。午後10時頃、黒いコートを着た不審な男が映っています。これが犯人かもしれません。」

「いい仕事だ、中原。引き続き解析を続けてくれ。」氷川は頷いた。「次に、芝岡。紙のインクの鑑定結果はどうなっている？」

芝岡雄三はノートパソコンを開き、結果を見せた。「このインクは特注のインクであることが分かりました。このインクの販売店舗は25店ほどあります。」

「なるほど。この情報を基に、販売ルートを調査してくれ。」氷川は芝岡に指示を出した。「さて、田宮。これから我々は聞き込み調査に向かう。まずは被害者の友人や家族に話を聞こう。」

田宮晶子は手帳を取り出し、メモを取りながら頷いた。「了解しました、氷川さん。」

最初に訪れたのは、被害者の親友である井上真央のパン屋だった。小さなパン屋は朝の忙しい時間帯だったが、井上は氷川たちを歓迎し、バックルームで話をすることにした。

「井上さん、佐々木さんとはどんな関係だったのですか？」氷川が尋ねた。

「佑紀とは高校時代からの親友でした。彼はとても優しい人で、仕事も一生懸命でした。彼は東海道五十三次をいつか高校生時代の友人とめぐりたいとよく私に話してくれました。」「それがこんなことになるなんて.....」井上は涙を浮かべながら答えた。

「最近、何か変わったことはありませんでしたか？例えば、誰かに悩まされていたとか。」田宮が優しく尋ねた。

「特に何もありませんでした。ただ、最近何かに追い詰められているような感じはしました。でも、詳しいことは話してくれませんでした。」井上は首を振った。

「分かりました。何か思い出したら、すぐに連絡をください。」氷川は名刺を渡し、感謝の言葉を述べた。

次に訪れたのは、被害者の同僚である宮川隼人の自宅だった。宮川の妻、雪菜が出迎えた。

「宮川さん、昨晩のことについてお話を伺いたいのですが。」氷川が本題に入ると、雪菜は不安げな表情を見せた。

「昨晩、隼人は遅くまで仕事をしていました。彼は最近、何かに怯えているような感じでしたが、何があったのかは話してくれませんでした。」雪菜は困惑した様子で答えた。

「隼人さんは佐々木さんとはどういう関係だったのでしょうか？」田宮が尋ねた。

「隼人と佑紀は高校生時代の友人でした。最近、何か大きな問題があったのかもしれません。」雪菜は悲しげに答えた。

「ありがとうございました。もし何か新しい情報があれば、すぐに教えてください。」氷川は丁寧に礼を述べ、雪菜に名刺を渡した。

次に訪れたのは、カメラマンの石川祥騎のスタジオだった。石川は忙しそうに撮影準備をしていたが、氷川たちの訪問に応じてくれた。

「あなたと佐々木さんの関係は？」

「高校生時代の友人ですよ。佐々木は東海道五十三次を巡ることに興味があって、中学生のときから写真を取ることが好きだった俺と意気投合したよ。」

「石川さん。実は、昨日の早朝佐々木さんが日本橋で殺害されました。」氷川が切り出すと、石川は驚いた顔をして答えた。

「佑紀は本当にいい奴でした。彼が殺されるなんて信じられません。」石川はショックを隠せない様子だった。

「実は、昨日の朝日本橋で風景を撮影していたんですよ。そんな近くで事件が起きていたなんて。」

「そうですか」

「では、最近、何か変わったことはありましたか？」田宮が尋ねた。

「佑紀は最近、誰かに監視されているような感じがしていると言っていました。具体的には言えませんが、彼の周囲に何か不穏な気配を感じていました。」石川は思い出しながら答えた。

「監視されている…。それは重要な情報です。ありがとうございます、石川さん。」氷川は深く礼を述べた。

警視庁に戻った氷川たちは、集めた情報を共有しながら次の手を考えた。

「防犯カメラの映像、不審な人物の目撃情報、そして被害者たちの周囲の異変…。これらの情報を基にして、次の手を打たなければならない。」氷川は冷静に話をまとめた。

「芝岡、紙のインクの調査を続けてくれ。中原、引き続き防犯カメラの解析を進める。田宮、被害者の関係者からさらに詳しい情報を引き出してくれ。」

「了解しました！」三人は一斉に応じた。

氷川は深呼吸をし、次の一手に向けて心を決めた。これからの捜査はさらに厳しくなるだろうが、彼には仲間たちの支えがある。事件の真相に迫るため、彼は全力を尽くす覚悟だった。