大草原の小さな領主 ～七歳王女の楽しいハードモード異世界開拓記～

１１．村で起きている問題を整理しよう

　結局ヘレナの目論見通り、きっちり十時間の睡眠をとらされてしまった。

　いやまあ、時計がないのできっちりかどうかはわからないけれど、体感としてはきっちり二十時から六時までの十時間。

　十分な睡眠のおかげで眠気も飛んだ私は、朝も早くから執務机に向かっていた。

　机の上に大展開するのは、昨日書き留めたメモと、これまでまとめてきた資料。それから執務室を漁って見つけた、前領主時代に残されたノートリオ領の気候に関する記録である。

　資料の束の横には清書用のインクとペン。さらに横にはヘレナの淹れたお茶。

　まだ温かいそのお茶を一口飲むと、私はペンにインクを付けた。

　さて、それでは昨日の視察から得られた、現在の状況と問題点をまとめていくとしよう。

　まずはざっくり、視察の結果を一覧にまとめるところから。

　ついでにステータスの方も、冬直前の内容から最新版に更新しておこう。

現在の状況と問題点　まとめ

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【狩猟】

魔物の狩猟と罠の設置、解除の他、血抜きと解体も行う。

壊れた家々から必要な分の薪の回収を行う。修繕することで持ちそうな場合は修繕もする。

割当人数：９人

生産物　：魔物肉、毛皮、脂（罠用）、内臓肉（罠用）

生産量　：０～１頭

余力　　：あり

雪の影響：現時点ではなし

備考：

・現在の村の食糧のほぼすべてを賄っている

・作業量は多いものの、割当人数が多いことと狩猟への慣れから余力があり

・実際の狩りの際は、誘導１人仕留め４～５人ほどで事足りる。余剰人員は家の修繕等を行っているらしい

・積雪が少ないうちは狩猟への影響はないと判断

・魔物活性化の兆候あり

・魔物が村に侵入するまでは現状維持

懸念：

・積雪が今以上増えると狩猟不可

・魔物が村に侵入しても不可の可能性あり

・魔物がさらに活性化して、より狂暴になったときに狩猟はできるか？

・薪の収集を兼任しているため、魔物が村に侵入すると薪の入手も不可に

【採集】

屋敷近くの草原にて草を刈り、瘴気の毒抜きに使う首狩り草を収集する。

収集後は乾燥させ、袋詰めにして保存する。

割当人数：２２人（一部炊事班と兼任）

生産物　：首狩り草（薬草）

生産量　：大袋１つ、中袋半分（減少中）

余力　　：あり

雪の影響：生産量減少、およそあと１０日ほどで生産不可に

備考：

・首狩り草は魔物肉の毒抜き、瘴気を除去する薬茶、食用に使用

・薬茶は最低１日１杯を推奨。ただし毒があるため飲みすぎに注意。１日３杯以内が推奨

・採集したうち、大袋に詰めた分は冬の備蓄に回し、半端の分を食事に使用している

・生産量は日々減少傾向。少し前までは大袋で２つは採集できていた

・近いうちに人員が不要になる予定。子供３人はすでに割り当てから除外

・この作業のみ男女混交、男性１０人、女性１１人

懸念：

・在庫管理必須、数量確認

・採集班の再割り当て先を考える必要あり

【家事・子守り】

掃除、洗濯、針仕事、子供の世話等の村の家事を一手に担う。

現在は外套の縫製も行っている。

割当人数：３人

生産物　：外套（仕上げ）

生産量　：２枚前後（毛皮の加工状況に応じる）

余力　　：なし

雪の影響：洗濯物が乾かず

備考：

・毎日の洗濯は基本的にシーツやタオル、肌着のみ。上着やズボンは数日おき

・洗濯室と乾燥室は地下。乾燥室は現在使用を控えている

・掃除は村人たちが使用する屋敷の一階、二階が中心。雪のためか泥汚れが多め

懸念：

・人手不足

・手が足りないため掃除が行き届いていない

・手が足りないため針仕事が間に合っていない

・手が足りない状態が続いているため負担が大きく、不満がたまっている

【雑用・狩り支援】

狩りに必要な罠の作成の他、毛皮のなめし、裁断、縫い合わせを行う。

また、水汲みなどの屋敷内での力仕事も行う。

割当人数：４人

生産物　：毛皮、外套（裁断、縫い合わせ）

生産量　：２枚前後

余力　　：なし

雪の影響：毛皮が乾かず

備考：

・外套制作を早めるためなめし処理を荒くしている。現在制作中の外套はこの冬のみの使用を想定

・負傷者４人、うち歩行困難者２人。残り２人は回復傾向

懸念：

・人手不足

・当日中に作業を終えようと無理をする傾向あり

・食糧生産に寄与しないため負い目を感じている？

・毛皮用のなめし剤の在庫確認

【医療】

屋敷内での病気の治療、予防に努める。現在は予防に注力。

割当人数：２人

生産物　：なし

生産量　：なし

余力　　：あり

雪の影響：なし

備考：

・医者（仮）一人、看護師一人

・現在は入院者なし

懸念：

・現時点ではなし、様子見

【炊事（採集と兼任）】

朝晩の二度、厨房にて村人全員分の食事を作る。魔物肉の毒抜きも担う。

割当人数：１１人

生産物　：料理（薄いスープ）

生産量　：朝晩２食

余力　　：なし

雪の影響：現時点ではなし

備考：

・採集作業の開始前、終了後に女衆のみ作業に参加する

・毒抜きは屋外にて実施

・食糧節約のためスープにして水増ししている。本来の消費量のおよそ半分程度に抑える

懸念：

・毒抜きは屋外で行うため、今後の降雪次第で作業不可？

・スープによる水増しは栄養面及び満足面に問題あり

・使用できる食材が極端に少ないため栄養面に不安あり

【子供】

現在は仕事なし。

人数：４人

備考：

・１４歳以下は子供として扱われる

・現在、村にいる子供は２歳、７歳、８歳、１１歳

・時間ができたので、７歳～１１歳にはヘレナを教師に文字の読み書きを教える

・ひとまずは冬いっぱいを目安に、できれば簡単な読み書きと四則演算くらいは覚えてほしい

【その他】

御者：１人

侍女：１人

備考：

・御者は代わりがいないため動かせず。馬の世話や体調管理の他、手が空いてそうなら狩りに専任させている護衛の代わりに私個人の作業を手伝わせる

・侍女の仕事はなくせず（不本意……）。教師を兼任し、侍女仕事は無理のない範囲で