【完結】「潜在意識の迷宮」

第4話

エヴァンの記憶を解放した後、俺たちはドクター・ヴァンデンバーグの研究所で新たな手がかりを整理していた。目の前のモニターには、エヴァンの記憶から得られたデータが次々と表示されている。

「これで、エヴァンが何をしていたのかが分かるわね」とリサが言った。

「そうだな。エヴァンは記憶を消去することで過去の痛みから逃れようとしていたが、それは間違いだった。俺たちはその真実を理解した上で、次に進むべきだ」と俺は答えた。

ドクター・ヴァンデンバーグが解析を進めながら、「このデータには、プロジェクト・オブリビオンの詳細な情報が含まれているわ。エヴァンが行っていた実験の記録と、その目的が明らかになるはず」と説明する。

「どんな実験だったのか？」と俺は尋ねた。

「プロジェクト・オブリビオンは、記憶の改竄と消去を通じて、精神的な痛みを和らげることを目的としていた。しかし、その副作用として、個人のアイデンティティが失われるリスクがあったのよ」とドクターは答えた。

「エヴァンはそれを理解した上で、実験を続けていたのか…」とリサが言った。

「彼は自分の痛みから逃れたかったんだ。それが彼の行動の動機だ」と俺は理解を深めた。

解析が進む中、ドクターが突然画面を指さした。「ここを見て。このプロジェクトにはもう一人重要な人物が関わっていたわ」

画面には、エヴァンの母親、エリザベス・ストーンの名前が表示されていた。彼女はプロジェクト・オブリビオンの初期メンバーであり、エヴァンの行動に大きな影響を与えた人物だった。

「エリザベス・ストーン…彼の母親が関与していたのか」と俺は驚いた。

「そうよ。彼女は記憶の操作技術を開発した天才科学者だった。しかし、彼女の死後、エヴァンがその技術を引き継いだのよ」とドクターは続けた。

「彼女の死が、エヴァンの行動の動機になったんだ」とリサが推測する。

「その通り。彼は母親の遺志を継いで、記憶の操作技術を完成させようとした。でも、その過程で自分自身も失いかけたんだ」とドクターは説明する。

俺たちはエリザベス・ストーンの研究を基に、エヴァンの記憶をさらに解明するための次のステップを計画し始めた。

「次に進むべきは、エリザベスの研究施設だ。そこにはエヴァンが残した手がかりがあるはずだ」と俺は提案した。

「同意するわ。彼女の研究ノートやデータが、エヴァンの行動を理解する鍵になるはずよ」とリサが頷いた。

ドクター・ヴァンデンバーグが地図を表示し、エリザベスの研究施設の場所を示す。「ここが彼女の研究施設よ。エヴァンが最後に訪れた場所でもあるわ」

「ここに行けば、全てが分かるかもしれないな」と俺は決意を新たにした。

準備を整えた俺たちは、エリザベスの研究施設へ向かうために研究所を出発した。現実の世界でも危険が待ち受けている可能性があるため、慎重に行動する必要がある。

「エリザベスの研究施設に何があるのか、しっかりと確認しよう」とリサが言った。

「そうだな。エヴァンの真実を解明するためには、この一歩が重要だ」と俺は答えた。

エリザベスの研究施設に到着すると、そこは廃墟のように見えたが、内部にはまだ機能している装置が数多くあった。施設の奥深くに進むと、エヴァンが残した手がかりが見つかる。

「ここに全ての答えがあるはずだ。エヴァンの記憶と、彼が追い求めた真実が」と俺は言い、リサと共に施設の探索を始めた。