第4話


目を開けるとミシェルがいた。


蜂蜜色の髪、若葉色の瞳。

私が知っているミシェルは10かそこらのはずなのに、目の前のミシェルは20を超えているように見えた。


私は嬉しくなって、ミシェル、と声をかけた。


ミシェル、君に会えて嬉しいよ。

君に言われた通り、僕は生き続けたよ。

君が言ったように幸せな時は訪れなかったけれど。


それでも生きた。


だから君に会えたのは、きっと神様の贈り物なんだ。


会いたかったよ、ミシェル。


私は嬉しくて、嬉しくて。

こんなことならもっと早くに死んでいればよかった、と思った。


私は何度もミシェルの名を呼んだ。

だがミシェルは何も言ってくれない。

ただ私の頬に触れ、心配そうな顔をする。

そんな顔をしないで、と私は言った。


笑って、ミシェル。


僕の為に。


あの頃のように。


笑って………


私はミシェルを抱きしめたくて手を伸ばした。

だが、腕が重たくて上がらない。


その時私は、己が横たわっている事に気付いた。

どうしたんだろう?

体が動かない。

私はミシェルに触れたくて、懸命に腕を上げようとした。


そんな様子を見兼ねたのか、ミシェルは私の頭を抱きかかえると私に何かを飲ませた。

それはすぅっと喉の奥に流れ込む。


あぁ、これは天使の飲み物なのかな?

とても気分が良いよ、ミシェル。


私の頭を置いたミシェルが初めて笑った。


やっぱりそうだったんだね?

アレを飲んだら君と同じになれるんだ。


ミシェル、ミシェル。

あの頃のように一緒に歌おう。


一緒に笑おう。


ミシェル、ミシェル。

僕の天使。


やっと君と同じ時を過ごせる。





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