仕事しましたよ

1日経って昼頃になってハルとアキが戻ってきました。


「お帰りなさい。大丈夫だった?怪我はない?」

「はい大丈夫です。正直、警備もザルで簡単でした」


「それは良かったわ。何か有力な情報は見つかったかしら?」


ハル達を気遣いながら情報を聞いた。


「お待たせ致しました。色々とわかった事があります」


ハルは懐から何か取り出した。


「これは………」


丁寧に紙で包まれた物を開くと、葉巻が入っていた。


「ドラッグね………クズが」


静かな声で呟いた。

ハルとアキは説明した。


「ワルヨノー伯爵子息はガラの悪い【お友達】と、毎晩『いかがわしい』パーティーを開いているようです」


「父親の伯爵本人は知っているの?それとも一緒にやってるの?」


「伯爵本人は帝都の官僚として働いているので、領地にはいません。息子に領地を任せているのですが、クズドラ息子は代官に管理を任せて、自分は遊び回っているようです。ただ伯爵自身は息子が何をしているのかは知っているようです」


「知っていて放置しているのは同罪ね」

「いえ、いちお、クズドラ息子が街の女性を襲っていた事を知って、屋敷に閉じ込めているようです。余りにも領民に知られて過ぎてしまいましたから」


「外には出られないけど、悪いお友達とパーティーとはね~~」


シオンは腕を組んで考えた。


「さて、どうしようかしら?」


正直、このドラックだけでも十分に婚約を破断にはできるけど、まだ罪が軽いわね。


「お嬢様、正直このクズドラ息子には早々に痛い目に合わせませよう!女の敵です!」


シオンの呟きにアキが声を上げた。


「どうしたの?そんなに声を上げて?」


何かしら?シオンが疑問に思っていると、ハルが代わりに話した。


「ワルヨノー伯爵の屋敷に、男爵で売られた女性が何人か監禁されていました」


!?


「それを早く言いなさい!それでその女性達は無事───」



そう言いかけてシオンはテーブルのドラックに視線を落した。


「まさか──」


ハルとアキは視線を逸らして答えた。


「想像の通りです………薬漬けにして大人数で………自分が外に出られないので、お友達が連れてきた様です。正確には商品を持ってきたですが」


いかがわしいパーティーとは、ドラックだけでは無かったのね。


「胸糞悪いわね………」


一瞬部屋の中がシーンと静かになった。


「でも、そうね。クズドラ息子は元からドクズだけど、そこに【悪い友達】が金蔓だと思って喰い物にしている様な感じがするわ」


そこに騎士リオンが手を上げた。


「それでお嬢!いつカチコミするんですかい?」


目をパチクリしてシオンはリオンをみた。

(ヤクザかよ!)


「そうだなぁ、こんな話を聞いて泣き言は冗談でもいえないな。我々お嬢の護衛騎士いつでも行けますぜ!」

(殺る気満々だな!?)


「こんな胸糞悪い連中、サッサと退治しましょう!こんなヤツにシマ荒らされちゃ、一般人が可哀想でしょうが」


他の騎士も同意してきた。

(仁義なき戦いかよ!)


「お嬢様、決めるのはシオンお嬢様です。でも、同じ女として、今回は対応して頂きたいと思います」


ハルが静かな声で言った。

(私が決めるのかよ!)


いや、そうだよ。私が決めるんだよ!ツッコミ過ぎて、何がなんだかわかんなくなったわよ!?


「はぁ~あなた達ねぇ~私がそんなに極悪人に見えるの?ちゃんと成敗するわよ!殺ってやるわ!」


アメリアだけは、第三者の視点から、この主にしてこの従者達だなぁ~と、遠い目をして思うのだった。












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