しわ寄せ
場所を移動して女の子を宿屋に連れてきた。
「助けて頂いてありがとうございました!」
「いえいえ、ご無事で良かったですわ」
最初は見捨てられそうだったのは無かった事にして、御礼を言った。
「私はアメリアと言います」
アメリアちゃんは16歳だそうだ。商人見習いらしく、新しい商品の仕入の為にお金を借りたらしい。
「私は帝国を周る旅の途中なのだけど、ああ言ったゴロツキは多いのかしら?」
アメリアは躊躇いながら話した。
「はい。ここの領主は昔から余り良い領主ではありませんでしたが、1年前からです。自分の寄親であるヴァイス侯爵家のお嬢様が皇帝陛下のお妃様に選ばれたので、支援金を集めると御触れを出したのです。それで、ただでさえ高い税を払っていたのに、それから別に様々なものに税を掛ける様になったのです」
「ああ、それが水に絡む税などね。アキ、ヴァイス侯爵のお嬢様って何曜の位かしら?」
ハルとアキはシオンの護衛兼メイドであるが、それぞれ別の仕事を持っていた。アキは帝国の情勢について、【配下の者】を使って調べる係りだった。
「事前に得た情報では、ええと、メロン・ヴァイス侯爵令嬢と言う名前で、変動がなければ火曜の位にいますね」
ほほぅ?3番目か、中々上位じゃないですか?
でもメロンってこの世界では普通の名前なのかしら?
「ただ、ヴァイス侯爵は余り良い人物ではないですね。お金に汚い人物で知られており、この東部のまとめ役をしてます」
「なるほど。自分の金を使わずに、寄子である派閥の者達から献金を集めているのね。より多くの献金をした者を側近にしてやるとか言って」
「そのしわ寄せが、そこに住む民なんて最悪ですね」
ハルとアキは嫌悪感を顕にしながら言った。
「街のみんなは嫌気をさして隣の領地に逃げる者も出てきています。売るものだって領内で売れないから、わざわざ隣の領地まで売りに行って、領内には質の悪い商品しか並びません」
「ここにくる道で、商人と多くすれ違ったと思ったらそういう事だったのね。何で商人が多く行き交いしているのに景気が悪いのか不思議だったのよ」
アメリアは膝の上に置いた拳を強く握りながら言った。
「それに税が払えなくなって身売りする者も出てきているんです。それも一食の食べ物と交換で」
「それは………」
余りにも安すぎる。
シオンは決心した。
「ねぇ、私達はこの街に来たばかりなの。もっと教えてくれないかしら?」
「お嬢様、余り問題を起こすのは………」
シオンは苦言を言うハルを睨んだ。
「黙りなさい。ここの領主は度が過ぎています。少し懲らしめないといけないでしょう」
「ええと、シオンお嬢様?はいったい………」
「私は婚礼前に、道楽で旅をしているお嬢様なだけよ♪」
アメリアは困惑しながら絶対に嘘だ!と、呟くしか出来なかった。
「取り敢えず情報が必要ね。ここの領主は何ていうの?」
「はい、アーク・ダイカーン男爵と言います」
ブハッっとシオンが吹き出したのは御愛敬であるw
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