証拠集め

シオンはハルとアキに命じた。


「では、ちょっとダイカーン男爵の家に行ってきます」

「気を付けてね。それとこれからアクダイカーンと言って。そっちの方がやる気がでるから♪」


???

転生者のシオンしか、わからない事でした。


「家名と名前を一緒に呼ぶのですか?まぁ良いですが」


シオンお嬢様が【おかしい】のはいつもの事ですしね。

そう言うとハルとアキはシュッっと消えた。


「ええっ!?消えた!!!?」


アメリアは目の前から消え2人にびっくりしていた。


「シオン様はいったい何者なのですか?」

「うん?ただのお嬢様よ?」


絶対に嘘だ!?

アメリアはジトーとした目でシオンを見るのだった。シオンはそれに気付かないようにアメリアに尋ねた。


「貴女は家族とかいるの?」

「いえ、私は………親に売られたんです。口減らしで………」


「それは……ごめんなさい。辛いことを聞いて」

「いえ、正直この領地ではよくある事なんです。私はまだマシでした。売られた先が良い人達の所だったので。でもそこも高い税が払えなくなって経営が苦しくなったです。私はそれで自分から独立したんです」


なるほど。行動力はあるのね。


「商人見習いと言うことは、その引き取られた所で、勉強したのね?」

「はい。基本的な読み書きと商人としてのノウハウを学びました」


これは使えるわ!


「その引き取った方のお店はまだあるの?」

「はい、借りたお金で利益を出したので、利子以外の儲けはそちらに送りました」


ふむふむ。ちょっと調べてみますか。


「今日はもう遅いわ。あのゴロツキの件もあるから隣の部屋で休みなさい。大丈夫。きっと力になるから安心して」


「あ、ありがとうございます!」


アメリアは何度も頭を下げて部屋を出ていった。

シオンは呼鈴をチリンッと鳴らした。


「お呼びでしょうか?」


護衛の騎士が入ってきた。


「明日は護衛の騎士を3人ほどアメリアの引き取ったお店に向かわせます。そこでアメリアの事情と店の状況を聞いてきて下さい」


「はっ!しかし、お嬢様の警護が弱くなりますが?」

「大丈夫。明日は部屋で調べた情報の精査をしているから外にでないわ」

「かしこまりました。では明日の朝1番に出掛けます」


こうして事態は動き出した。


次の日になって、シオンは帝国へ来てから集めた商品など見直していた。


「う~ん?流石になかなかないわよね~」


まだ辺境伯領とそんな離れていない帝国領なため、農作物なども似ており、変わった商品など見当たらなかった。


「うちの領地では珍しい果物はあったけれど、知らない訳ではないしね~」


1人で考えているとアメリアが入ってきた。


「失礼します。朝食をお持ち致しました」

「あら?ありがとう!入ってちょうだい」


アメリアは失礼しますと、朝食を後ろのテーブルに置いた。


「これは何をしているのですか?」


「私は南の王国から来たのよ。この帝国でも商売が出来ないかと思って、途中に寄った街の品物を精査していたの」


アメリアは目を輝かせてて言った。


「私も見て良いですか!他の街の商品に興味があります!」

「ちょうど良いわ。私は朝食を食べるからゆっくり見て良いわよ。現地の人の感想も聞きたいしね」


シオンはアメリアの意見を聞きながら検品するのだった。







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