「そういえばさ、お兄ちゃんは今日初めての探索をしてどうだった？」

　奈恵と僕さしばらく追いかけっこして落ち着いたところでそんなことを聞いてきた。

「いや、お兄ちゃんが話を聞かずに逃げるからでしょ……。ほんとこのシスコンバカお兄ぃは」

「ナチュラルに心を読んだ！？」

「いや、お兄ちゃんがわかりやすいだけよ。……流石に私以外にこんなことしたら怒るからね？」

「わかってるよ。それで今日の探索なんだけど、結構スキルが強くて10階層まで行ってきたよ。」

「えぇ……。普通は物理攻撃が効きにくいスライムだったり人型のゴブリンがいるから5階層とか6階層で苦戦する人が多いんだけどなぁ……。」

　少し奈恵に引かれるのは悲しいけど、予想通りへんげが強いと言うことがわかったので一安心である。

「それで、一緒にお兄ちゃんと探索しようって話なんだけど流石に一日探索しただけじゃなんとも言えないから一ヶ月くらいは1人で探索してみて欲しいなーって思って」

　実際奈恵の言うことは正しい。

　僕の場合はへんげと言う強力なスキルがあったから現状は楽に探索できているところがある。

　だけどこれこらはそう上手く行くという保証はない。

「わかった。頑張るよ」

◇１１階層

　奈恵のエールを貰って元気いっぱいの僕はさっそく次の日に１１階層へとやってきていた。

　この階層に出てくるのは昨日倒したゴブリンジェネラルが呼び出していた剣を持っているゴブリンことゴブリンウォリアーと、帽子をかぶったゴブリンことゴブリンメイジに加え、回復役のゴブリンメイジと弓使いのゴブリンメイジ、そして蜘蛛のマッドスパイダーの5種類らしい。

　とりあえず一種類ずつ食べてスキルを獲得しよう。

【弓術Ⅰ、回復魔法Ⅰ、糸操Ⅰを獲得しました。】

　うーん、マッドスパイダーは渋い飴みたいな味。

　よし、サクサク１２階層も行っちゃおう。

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