体験エッセイ 偶さかある話

阿賀沢 周子

第1話

 6月中旬の週末、札幌ドームでの「サッポロ モノ ヴィレッジ」というハンドメイドの展示・販売イベントへ行ってきた。

 降ったりやんだりの雨の中、娘とよもやま話をしながら自家用車で1時間かけて向かった。

 会場は思ったより大規模で、人々の熱意と活気に満ちている。

 車ごと乗り入れて展示する店や、雑貨、アクセサリー店など、ワークショップや飲食店を入れると1,000店舗近い出店。様々なジャンルのクリエーターが手作りの品々をひろげていた。11度目の開催だという。


 順々に店をのぞいていると、後ろから声をかけられた。驚いたことに友人のAが妹と立っている。久々の再会だ。

 娘もよく知っていて、驚いた理由は車の中でたまたまAの噂話をしていたからだ。立ち話の後、別行動になってから娘と「噂をすれば…とはね」と偶然を楽しんだ。


 それから少し会場を歩いていると、前に見たことがあるような作品を並べている店に行き当たった。

 山の木の実や種などを、球やツリーの形にくっつけて仕立てたオーナメントの店だ。

 パンデミックの前に、似たようなものを長沼町で買っていたので、店主にそちらで販売していないか尋ねると「何回か納品している」という。

 お気に入りに出合えたのがうれしい。作風の話などをして新作を購入した。

 初めて行ったイベントなのに目にとまったのは、偶然ではなく必然だろうか。


 今までの人生で一番すごい偶然は、英国のストラットフォード・アポン・エイヴォンのお土産屋さんで、近所のママ友と行き会ったことだ。

「○○サンデショ」と後ろから日本語が聞こえてきたときを、超える驚きにはまだ遭遇していない。

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体験エッセイ 偶さかある話 阿賀沢 周子 @asoh

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