変な臭いなんてしないよ?

(ピンポーン)

(鍵が開き、家のドアが開かれる)



「やっほー、起きてるー?いやはや、もはやノータイムでドアを開けてるよね。チャイムを押す意味を問いたくなってくるレベルだね。………っは!まさかそれだけ私も君に受け入れられている証拠なのかな??」


「え?私が勝手に入って来てるだけだろって?ぶーっ、なんでそんなこと言っちゃうのかなぁ………いいじゃん距離が縮まってるってことでさぁ。だめ?そんなに私の事………いや、何でもない。こういうのはちょっとあれだよね」


「まあいいや………うん!それはそうと今日は映画を見ようよ!!」


「何を見るのかって?ふっふーん、それはもう決まってるんだよねぇー………じゃんっ!このアニメ映画にしようよ!!そう、一昨年二期やってたアニメの、うん、そうそれそれ」


「え?アニメなんて見るのかだって?愚問だね、君と見るために勉強してきたんだなぁこれが!履修済み?って言うんだっけ」


「ふっふーん、アニメは一期も二期もちゃんと見てきたし、後は映画を見ればコンプリートのところまで来たのだよ!!というか、二期を見終わったのが昨日の夜だから早く映画が見たくてたまらないぜ!」


「え?変な口調だって?あー、多分アニメのキャラの口調がうつった、かな?そう、あの主人公の相棒のキャラ。かっこいいよね!推しっ、てやつだね!二期で判明した過去の話とか特に───」


「あ!そうだ、出前取ろうよ出前!ピザとか食べたい!!」


「は?太ったりしないが?ちょっと失礼じゃない??私、食べても太らない体質だからきっと、多分、おそらく」


「安心してって、お金は私が出すから!さ、君はどれにする?あ、私マルゲリータね!やっぱりこれが原点にして頂点って感じだよね!ほんとに原点なのかは知らないけど!!」


「お、君は照り焼きチキンねー、了解!………よしっと、これで注文できたかな?ささ、待ち時間に映画みよーぜ」


「………あ、もしかして君って映画とか途中で止められると嫌なタイプ?ピザ来るまで待ってから映画にする?私は正直そんなの気にしないから、どっちでもいーよ!」


「ん、おけぃ。じゃあさっそく映画見ようか」


「あ、そうそう。気にすると言えばさぁ、君って映画の途中に喋られても大丈夫なタイプ?私、家で映画とかを見ると結構騒がしいタイプなんだけど………あ、平気?ほんと?よかったぁー………へへっ」


「ん?なんでもないよー」


「よし、じゃあつけるねー」






「うわっ!今のすごい!テレビ画面でも結構迫力あるねー、何というか、こう。作画の違い?を感じるよね!」


「………ん?なんか今チャイムが………ああ、そういえばピザ頼んでたんだったっけ」


「はーい」


(どたどたと扉に近づき、ガチャリとドアを開ける)


「はい、ありがとうございまーす」


「え?変なにおいですか?」


(すんすんと匂いを嗅ぐ)


「ええーしないと思いますけどー……あ、違う?部屋から漂ってくる?」


「ええー、そですかね?そんなことないと思いますよ??え?なんもないと思いますよぉ?はい。別に変な物作ってたりもしないですし」


「?そうですか?まあ、多分大丈夫なんで。あ、ピザありがとうございまーす」



(ピザを受け取り、ドアを閉める)


「ピザ来たよー、ねえねえ聞いて?なんか宅配の人が部屋のにおいがどうとか言ってきたんだけど、なんか失礼じゃない?普通思っててもあんなこと口に出して言う!?いや、そもそも全然臭かったりしないし!!ほんとに失礼って感じ!!」


「あ!もしかしてあーいうのを変質者って言うのかなぁ?え?ちょっと違う?確かにどっちかと言えば………こう、異常者?的な?いや我ながらひどい言いようだな、今度はこっちが失礼だよぉ」


(すんすんと部屋のにおいをかぐ)


「にしても、変な臭い、ねぇ………そんなのしないけどなぁ。君もそう思うよね?あ、てかここって君の部屋だから君の体臭とかの話なんじゃ………なんて、嘘嘘、冗談だからそんなに怒んないで。そんなこと一度も思ったことないから」



「あ、君が照り焼きチキンだったよね?こっちね────なんか、照り焼きチキンも美味しそうだな………あ、そうだ!半分こしよーよ、私のマルゲリータ半分あげるから照り焼きチキン半分ちょーだいっ!」


「ほらほら、そんな顔しないで、いーじゃんちょっとくらい」


「えへへ、ありがと」


「さてと、ピザも届いたことだし映画の続き見よっ!」

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