【微睡ノ世界】
⑥【微睡ノ世界】
2135年到来確立:73%
再現場所:京都府京都市中京区付近
【概説】
それは、ヒト種の文明の果てに合理を突き詰めた世界。
極限なまでに人の労力を省き、人の動作を否定し、人の幸福享受のみに重きを置いた世界。
誰しもが見れる甘美な夢はヒトに努力を忘れさせ、代わりに堕落を与えた。
仮想空間とはヒトの理想郷。
誰しもが見たい夢を見れる世界。
ヒトの欲望の赴くままに、品性のかけらもない自分だけの世界を造れる。
ヒトの生体活動の低下と息をすることさえ億劫に感じた世界。
ヒトが生命の意地さえも省きたいと願うことは、あまりに愚かしく。
誰もが怠惰で、誰もが清貧の地勢の欠片さえも持たない。
その世界は怠惰の世界。
ヒトの生きる活動を極限なまでに省いた世界。
その終末の名を【微睡ノ世界】と言う。
【遺歴】
▶2055年:
・《リアリス・システム》の開発
電子・量子脳科学に夢を見る原理が解明される。
量子信号、電気的波動の解析により脳幹から後頭葉にかけて奥に内蔵されている電気皮質意腎部へアクセスを可能とし、夢物語だった仮想空間を実現させる。
仮想空間とは、好きな時に好きな夢を見ることができ場所である。
現実と寸分たがわない五感の再現成され、お互いに意識を伝播させ他の人間との交流も図ることができる。
▶2065年:
・
ヘルメット型VRヘッドギアが一般に普及。
「好きな時に好きな場所へ」というキャッチフレーズで売り込まれた。
多くの人間が仮想空間内の現実と変わらない再現度に驚き、爆発的に普及していく。
仮想空間内で活動を行えば様々な無駄を省けるため、会社や学校など既存の場所に赴くという行為が見直された。
またそれに追随する形で、現実から仮想空間に店舗、オフィスを移すなどバーチャル・ダウン化現象が活発化。
次第に移動という交通手段が必要なくなり、多くの人間が家に身体を置きながら意識のみ出かけるという、これまで考えられなかった常識が根付く。
▶2090年:
・人の運動機能が低下する報告が確認される
極端なまでに省力化したことにより、一部人の運動機能が低下。
身体を効率的に鍛えるリアルジムが数年間流行する。
生殖活動の低下、妊娠不全、健康寿命の低下、免疫効果の低下、早老化現象の増加など多数の健康被害事例が生じる。
もっとも脆弱な時代と揶揄される。
▶2100年:
・
日常の生活行動(食事、排せつ、洗体、運動等)を全て自動で行えるベッド型VRギア。
医療検査に用いられるMRI装置のようで、各種銀製のロボットアームが内蔵されている。
多くの人間が仮想空間に滞在し、現実空間に戻ることをしなくなる。
▶2135年~:
・ヒト種の衰退と終末
醒めない夢が一つの種を衰弱させ、終末をもたらした。
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