第18話 優香殺害
ある夜の事だ。アイドルになりたくて色々なオーディションに応募していたが、中々合格を掴めず、やっと4年めに合格出来た事務所ミーティア・プロモーション系列会社「コメット」に所属していた「美少女組」の1人だった優香が殺害された。
「キャ――――ッ!あっ!……あなたは……あなたは……何故このような事を?」
そうあの優香が殺害されたのだ。それは目が出ず思い余った優香はとうとう枕営業に走った。
”枕営業”の実態。
1つ目は、事務所を通さずに個人的に枕営業するパターンと、もう1つは事務所やテレビ局などの組織を通すパターンがあるそうだ。
実は……優香はオーディションで役を掴むために、清水の舞台から飛び降りる覚悟で事務所を通さずに個人的に枕営業に励んでいた。
その相手はズバリ陸だった。
「仕事のために頑張ります。私の身体を……私の身体を……うっふん💕💖好きにして下さ~い💋嗚呼……💛💞💘」
これで陸に関係する女性が3人殺害された事になる。
陸の彼女が次から次へと殺害されている、この一連の事件の裏には何があるのか?
★☆
実は……陸は漫画家なのだが、富田監督が自分の漫画を実写化してくれる事に最初の内は感謝感激だったが、最近は不満で一杯だ。その理由は自分の思い描く漫画の人物像と富田監督の人物像の食い違いだ。
そう感じた陸は富田監督の感性に不満を感じて自分で映画製作に乗り出した。
(自分の描いた漫画の主人公が自分の意図する人物と違う。どうも……監督の作品は、やたらと……お涙頂だい主義で自分の感性とは違う主人公に様変わりしている)
折角の自信作が別の作品に生まれ変わる事への苛立ち。こうして自分で映画を製作しようと思い立った。
作品はミステリー作品で自身が手掛けた作品の中でも、格別な思い入れのある作品だった。「迷宮の魔女ジュリア」という作品だ。そこで……既存の女優ではなく自身の目で主人公にピッタリの新人の女優を発掘しようと思い立った。
こうして……オーディションで主役を選ぶことにした。このジュリアは本来17歳なのだが、魔女に変身すると27歳の妖艶な大人の女性に様変わりする。だから……主演の17歳の少女ジュリア役と、27歳の準主役で魔女に変身した妖艶なジュリア役2人を募集した。
この作品には妹HINATAは当然出演しているが、既に20歳だったので今回はHINATAは友情出演という形で、重要な役どころマーガレット王女役に出演が決まっている。
こうしてオーディションは開催された。そこにはいろんな経歴の主役と準主役ジュリア候補が名乗りを上げた。
そうそう地下アイドルだったあの太客をゲットした「タンポポ娘」の1人でマリも、もうあれ以来5年の歳月が流れていたのだが、太客をゲットしたことで芸能界の表舞台に上り詰める事が出来て、すっかり肝の据わったタレントに変貌を遂げていたが、欲が出て女優としてもっと上を目指したくて、このオーディションの魔女に変身した27歳の妖艶なジュリア役に名乗りを上げた。
更には胡散臭い芸能事務所から熱心にスカウトされて『君はスターになる星の元に生まれた女の子だ。メジャーデビューをさせてあげるよ』と言われて、喜んでいたのも束の間150万円が必要だと言われ、お金を払って芸能事務所に入ったは良いが、いつまで経ってもデビューが出来ず、口先だけで金を搾取するばかりの詐欺まがいの芸能事務所に引っかかった3人、華子と美香と利美は事務所を変わり新たな事務所で活躍の場を狙っていた。
現在この3人華子と美香と利美は「キャンディースター」というグループ名で活躍の場を模索している。今回もHINATA姫の兄で有名漫画家初監督作品とあって、例え……準主役の妖艶なジュリア役がもらえなくても、どんな端役でも貰えたらスターの足掛かりとなるので、オーディションにやって来た。
この3人はHINATAの映画に最初は端役で出演していたが、有り難い事に、度々HINATA様から声を掛けてもらっていた。そんな理由から恐れ多い話ではあるが、トップアイドルであり女優業もこなすHINATAとお近づきになっていた。
「ああああああ……暑い暑い我慢が出来ないわ💢💢」
「おうおう……お姫様お嬢様……この様な真夏の炎天下、人気のない海での撮影は美容と健康に良くありません。オイ美香日傘をお持ちして。あっ!それと日焼け止めクリームをお塗り致します。おーい利美何してる?さっさとお手やおみ足にお塗りして差し上げないと……気が利かない2人ですみません。お~っほっほっほ」
この様に高々エキストラに毛が生えたような分際で、トップアイドルであり主演女優のHINATA様にチャッカリ近づいていた。
ヤクザな世界に身を置いてきた3人は、大物たちにえげつない程のゴマすりを繰り返し気に入られ擦り寄る事で、この芸能界の荒波を乗り越えていた。この様に無名でも痒い所に手が届く気の利く人間は大物から目を掛けてもらえる。
売れるためだったら、なんでもするという典型的な人間
この3人の太鼓持ちっぷりは、さまざまな場面で見られるが、持ち上げられた人はみな、悪い気はしない。
この様に、俳優女優さんに対しても、かなり気を遣って盛り上げて太鼓も持つので、みんな気軽に電話番号を教えてくれるらしい。
そして……アイドルになりたくて色々なオーディションに応募していたが、中々合格を掴めず、やっと4年めで合格したのが今の事務所「コメットプロダクション」だったが、全くプロデュースしてもらえていない優香の「美少女組」は、まだ衣装や楽曲もない状況だった。それでも優香だけは夢を諦め切れずに細々と芸能活動を続けていたが、他の2人は芸能界とっくの昔に引退していた。こうして魔女ジュリアに応募したが、夢半ばで非業の死を遂げていた
。
★☆
芸能界の“枕営業”で女優さんに 掛ける言葉は「今夜頑張れる?」だそうだが、実際にはあるらしいのだが、極一部の話だと思う。
それでは……その“枕営業”とはどのように行われるのか?
社長やプロデューサーが、お気に入りの女性タレントの事務所やマネージャーに持ちかけるのだとか。お気に入りの女性タレントを見つけた社長は、女性のマネージャーに「すごいファンなんだけど、なんとかならんかなぁ」と提案する。その後、マネージャーは女性に「社長さん、すごい君のこと気に入ってるんだけどさ」「今夜頑張れる?」と聞く。こうして……愛人になる女優もいる。
決意した女性は、「嫌です」という女性は少ない「仕事のために頑張ります」と社長の元へと向かう。
それでは……枕営業をする女性タレントの特徴はどの様な女性が多いのか?
どんな事をしても上り詰めたい。家が貧しい人、ハングリー精神が強い人、承認欲求とは(そう他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたいそんな人)更には「仕事を選ばない子」。
昔は 枕営業は 売れない人たちがやるものと相場が決まっていたが、最近は少し売れている人をさらに売り込むためにやることが多いそうだから、アイドルグループでも枕営業をやっていることもよくある。
芸能は不公正な椅子取りゲーム。ドラマ映画に出演できるなら誰とでも寝る
という子が常に一定数いる業界で、全く寝ないでその枠にありつくのは至難の業。だから……一流の女優さんは努力を怠らないのだと思う。
(テレビでグラビアアイドルが「西麻布の会員制バーにプロデューサーがきて グラビアアイドルや女優に枕営業をあっせんしている」といった話も聞いたことがある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます