第13話 姉陽子と妹詩織
「私は……私は……絶対に離婚しない。あんな水商売の男をたぶらかす事しか能のない美知なんかに……負けて堪るものですか。今に見ておれ!あのメギツネメ!💢何とかして抹殺できないものか!!!!💢私の夫を奪った憎い女美知。許せない!!!」
そんな夫剛から離婚を切り出された陽子は益々宗教に救いを求めるようになった。更には今度は妹詩織にまで手を出している事が分かった陽子は、益々宗教にのめり込んだ。
「あなた……どういう事よ。私がいない時に詩織を……詩織を……手籠めにしていたなんてウウウッ( ノД`)シクシク…このケダモノ💢💢💢💢わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭そして…子供まで出来たっていうじゃないの。わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭どうするつもりよ。早く中絶させないと……詩織の将来が台無しでしょう。うううッ!( ノД`)シクシク…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭どうするつもりよ!!!!このどうしようもない獣‼💢💢💢💢💢💢」
「……詩織が……産みたいというので……仕方ないから……産んでも良い……と言ったんだ」
「一体何人腹違いの子供を産めば気が済むの?絶対に……絶対に……許さないから💢💢💢💢」
「お前こそさっさと出ていけ!!!!」
「わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭パパ!ママをこれ以上虐めないで!ママが可哀そう過ぎる!!!」
5歳の陸は余りの喧嘩に小さいながらに気付いて心を痛めていた。
それでも……ここで分からないのが、詩織だが、折角義父に強姦され行き場のない可哀想な妹詩織を引き取り一緒に生活までしてやっている姉を、裏切るようなことを言い出したのか合点がいかない。また何故強姦された憎い男剛の子供を産む気になったのか、分からないことだらけだ。
★☆
*詩織の思い。
詩織は義父に強姦されそうになり真っ先に救いを求めたのは13歳年上の優しい姉陽子の家だった。姉の陽子は子供の頃から優しい詩織にとってはお手本のような姉だったが、反面母親からは散々比較され姉に対して大きなコンプレックスを抱いていた。
母の口癖は「詩織は優等生のお姉ちゃんとは違って成績も運動神経もとてもじゃないが敵いっこない。だけど……容姿だけは詩織の方が上ね。まあ詩織がお姉ちゃんに勝てるとしたら玉の輿に乗る事だけね。その為にはもう少し勉強しないと……」
そんな優秀な姉に救ってもらい新たな生活は始まった。だが、その生活たるや肩身の狭いものだった。お寺の僧侶さんに交じって朝早くからお寺の掃除、それから……食事の準備。僧侶さんも何人もいたので食事の支度も大変だ。
そんな時に住職の義兄剛だけは優しくて「詩織ちゃんは大学受験を控えているから受験に精を出しなさい。家の事は陽子に任せて置きなさい」こう言って詩織が受験勉強に支障が出ないよう配慮してくれていた。
また家族で出かける時も、姉陽子は「勉強に精を出しなさい」と言って1人家に取り残されたが、そんな時剛は「良いじゃないか一緒に連れて行ってやろうよ」と非常に優しい。まあ姉にすれば妹は居候だ。主人の剛に申し訳なくて誘わなかったのだとは思うが?
この様な伏線がありこの家に逃れて来て1年も経たない内に、あれは確か受験勉強の追い込みでついつい眠りこけていた時だ。ガラガラと戸が開いたと、その時目が覚めた詩織。
「どうしたのですか?」
「チョット話を聞いてもらいたくてね……」
「どんな話ですか?」
「陽子の事だよ。陽子の裏の顔にはつくづく困っているんだよ」
「確かに……姉には自分が勝つためなら、どんな手段も選ばない所は有ります」
「俺は……陽子と離婚したい」
「何を言っているのですか?あんな完璧な姉のどこに不満があるのですか……」
「俺は……陽子とは大学が一緒だった。そして…サークルも一緒だった。サークルはジャズダンスサークルだったのだが、俺が3年の時に今までは女の子がいなかったが、1年生の陽子たちが4人が入って来た。その中でも美しい陽子に皆魅了された。陽子は一見するとおしとやかでいつもニコニコ控え目な子なのだが、目的を達成するために手段を選ばない「怖い女」だった。目標を叶える為に、目的を達成するために恐ろしいデマを飛ばした。実は……センターには男と女2人が選出される事になったのだが、1人東京大会で準優勝した女の子がいたんだ。昨日までは仲が良かったのに、保身のためにその女友達が会費を盗んだとデマを飛ばしたんだ。「自分だけが良い思いをしたい」「自分さえ良ければいい」「自分のしあわせのためなら、他人を犠牲にしても構わない」という考えを持っていた。実は……こんな事があった。陽子は運動神経が抜群でジャズダンスも習っていたようで上手かった。センターには男と女2人が選出されていたが、自分がセンターに立ちたいばかりに、友達の悪いデマを飛ばしてセンターを友達から奪ったんだ。負けず嫌いっていうのか?それで……その準優勝した子はあっさり辞めたけど、散々『違います!』って抵抗したけど会費は見付からず仕舞い。そして…俺には彼女が既にいたのだけれど、自分を悲劇のヒロインのように仕立て上げ、「剛さんあなたの彼女美智子さんに、剛に近づいたら許さないからと、大事なジャズダンスに必要な足を蹴飛ばされて病院で診てもらったと言って大泣きされて……結局俺は……美智子の事が怖くなって美智子と別れて陽子と結婚したんだが、後で分かった事だが、蹴ったというのは噓だったんだ。こうして……結婚して分かったんだが、陽子は自己中心的で自分に使うお金は惜しまずブランドの山。それでも……それだけで済めば問題ない。愛する妻が着飾って美しくなることは大歓迎だから……だが、結婚しても陽子が自分を着飾る理由は。イケメン僧侶に狂ったからだったんだ。今度はイケメン僧侶と深い関係に……だから……俺にはそっけないマグロ状態で、僧侶に夢中になり……だから陸はあの僧侶の子ではと、俺は疑っているんだ。だって……そっくりなんだよ」
「お義兄さんそれは余りにも考え過ぎではありませんか?あんな完璧な姉をその様に言うなんて考えられません。それから……陸まで疑うなんて酷い!第一お義兄さんがあちこちで女作って、子供まで設けるから悪いのではありませんか?だから……お姉さんがイケメン僧侶とそういう関係になったんじゃありませんか」
「違う最初に浮気をしたのは陽子の方だ。俺は現場を見たんだ。だから……陽子を愛せなくなって……それで……浮気に走るようになったんだ」
「お義兄さんも気の毒ね」
一方の陽子は自分の過ちを許してくれずに、女に走る剛に困り果てて宗教にのめり込んで行った。陽子は結局は夫剛を一番愛していた事になる。気の迷いとは誰にでもある事。
陽子は夫の心を取り戻すために狂ったように宗教に美のめり込んで行った。そして……熱中する余り家を留守にして宗教三昧。
★☆
時間が空くと剛と詩織はあれ以来、どちらからともなく言葉が漏れて話す機会が増えて行った。実は……詩織はこのチャンスを逃がす手は無いと、考え始めていた。
一体どういう事?
詩織は長い間、姉が優秀なので劣等生の烙印を押されて姉には到底勝ち目はないと思われたが、実は……兄剛は詩織に興味津々である事がひしひしと伝わって来た。
ここで姉の最も大切な姉の宝物夫剛を奪ったら、これで私のコンプレックスは晴れる。
夏の日に詩織がシャワーを浴びて出てくると、剛がお手洗い場に入った。
「キャ――――――――――――――――――――ッ!」
この家は脱衣所とトイレのお手洗い場が一緒だったので、手を洗おうと戸を開けると丁度風呂場から出て来た詩織と鉢合わせしてしまった。
「嗚呼……ごめん……嗚呼……出て行くから……」
「お義兄さん……私の事嫌い?もし……私を……私を……抱きたいのであれば……責任は取って」
「俺は……俺は……詩織を最初に見た時から……良いのかい?」
詩織は勝負に出た。年は違うが資産家でイケメンの剛を夫にして今まで散々比較され大敗した屈辱がこれで果たされる。何も……姉を恨んでいる訳ではない。だって……?兄の言葉の端々に姉に対する一欠けらの救いも見いだせない。
それであれば私が奪って何が悪い?
あれ以来剛と詩織は陽子が宗教団体「大日本真理教」の集いで居ない時間を見つけて愛し合っている。
詩織がうつらうつらと居眠りをしていると、ガラッと戸が開いた。
「お義兄さんヤヤメテ!陸君が……陸君が……居るから……キャ――――ッ!」
そうだったのだ。陸君が遊びに来ていたので抵抗しただけで、既に2人は男と女の関係になっていた。こうして……剛と詩織は1つになり太郎が誕生した。
果たして姉から剛を奪い取る事は出来たのか?
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