第5話 花音一家崩壊

 

 天才子役前田花音ちゃん6歳のその後はどのようなものだったのか?

 

 そこでまず花音ちゃんの家族にスポットを当てて見よう。

 花音の祖父は日本経済を先導するビジネス街「丸の内」に1棟、更には「新橋」に1棟、「品川」に1棟と、3棟のビジネスホテルを経営していた。


 先代の創業者曾祖父の妻が宝石好きだった事からホテル名が「ジュエリーホテル 」となった。


 そして祖父の跡を継ぎ父徹の兄で長男が社長となっていた。

 

 実は……祖父は2人の息子でホテルを切り盛りしてくれることを望んだが、次男だった花音の父徹は両親の苦労を嫌というほど見て知っていたので、銀行でしっかり勉強をしてホテル経営の家族の為にも、有利な預貯金や投資信託をと考えて銀行に入社した。


 株式投信などは「安い時に買って、高い時に売る」ことができれば大きな利益を得ることができるが、しかし実際には、買い時と売り時を正しく当てることは非常に困難だ。


 意気揚々と銀行員になった父徹ではあったが、折角望んで銀行員になったのに、何故父親が銀行を辞めたのかという事だが、そこには思いもよらない落とし穴があった。


 何と、入社早々上司からのノルマノルマの矢の催促にビックリを通り越して、只々呆れ返るばかり。その挙句突然7月中のノルマをしっかり言い渡され、ホテル経営で金がガッポリあると見込んで早速家族から投資信託取ってこいと言われた。


「イヤイヤ……今買い時ではないでしょう?高い時だから絶対嫌だ!」とも言えずとうとう買う羽目になってしまった。

 家族に噓をつき「絶対に儲かるから!」こうして無理矢理投資信託を家族に買わせた。


 その挙句これでもかと、多くの預貯金、更には終身保険、養老保険、 定期保険など、先ずは両親と兄にしっかり入ってもらい、もう良いかと思いきや次から次に親戚周りを言い渡された。


 親戚からは白い目で見られ……たまったものではない。


 それでも……徹が入社したのは一流のメガバンクだ。まかり間違ってもそのような事はないと思うが、徹が仕事が嫌になり誇張して言っているとしか考えられない。


 超一流企業ともなればコンプライアンス、コンプライアンスでそんな事はない筈だが?


 イヤイヤ……それが上司も人によりけりで、中にはヤクザまがいのとんでもないパワハラ上司も居るらしい。


 イヤイヤ……それどころの騒ぎではない。上には上が!ヤクザに匹敵するような上司も珍しくない。暴力、暴言、怒鳴り散らし上司もいるらしい。


「テメエ!💢バッキャロ―ッ!💢さっさとつべこべ言わずに親からでも兄弟からっでもむしり取ってコイ――――ッ!💢」と言ったとか?言わなかったとか?まあ徹が辞めたいばっかりに誇張して言っている感も否めないが?


 そんなこった~どうでもいい。もう辞めてしまった事だから……まあ営業の世界は古今東西ノルマがつきものだ。ボサ~ッとしていては商品は売れない。


 まあそこら辺の事は当事者にしか分からない事で……。


 ★☆


 こうして父徹は花音のマネージャーになったのだが、銀行の行員から比べればなんとも楽な稼業でまさに極楽極楽。今までの俺の人生は何だったんだ。


 イヤイヤ……それは花音ちゃんが汗水たらして稼いだお金。元々マネージャーが誰であろうと関係無い。花音ちゃんは業界では引っ張りだこ。高視聴率を叩き出せる唯一無二の子役。楽なのは当たり前。それを然も自分の力で稼ぎ出したと勘違いしてしまった両親。こんなステージママとマネージャーの父なので落ちて行く事となる。


 こうして家族は崩壊して行った。


 娘が並外れた天才のお陰で家族は生活は潤うはで、言う事なしかと思いきや、父徹にしてみれば、今まで虐げられて耐え続けていたのだが、タガが外れたように欲望が一気に噴き出して、何と……父徹は花音のギャラで銀座や六本木で豪遊し遊びほうけている。

「マミちゃんシュキ😍シュキ😍😻😍💓💕💖ブチュ💋」


「まあ徹ちゃんたらブチュ💋」

 

 やがて夫婦喧嘩が絶えず、父徹は愛人を作り結局両親は離婚。


 一方の花音はというと売れて鼻高々でいけ好かないガキ。更には大金が入って金銭感覚が麻痺して、生徒が持っていない破格の高級ブランド品の数々を見せびらかし、只でさえ人気子役であるが故に妬ましく鬱陶しく思っているのに、頭にきて学校でイジメの日々となって行った。


 やがてお金が底をつき、どん底まで落ちる。


 その後うまく子役から大人の俳優に脱皮出来たのかと思いきや、小さい時は愛嬌たっぷりのどこか憎めない毒づく、ぷっくりした子供だったのだが、大人になるにつれて只の冴えない女の子になり、仕事がこなくなり収入ガタ落ち、いつの間にか消えてしまった。


 父は兄の仕事「ジュエリーホテル 」の副社長に就いているのかと思いきや、何とも残念なことに2019年から2021年にかけて世界的にコロナが大流行。その影響でホテルビジネスが大打撃を受けて3棟あったビジネスホテルの内の2棟「新橋」と「品川」のホテルが姿を消してしまった。


 花音はこの後事件にどのように関わって来るのか?



 ※労務関係のコンプライアンス違反事例

 労務関係の違反は、労働者が雇用者から受けた不当な扱い、不利益で起こった精神的・肉体的な苦痛など。

 【事例】

 ・サービス残業黙認した上での賃金未払い

 ・長時間労働による労働基準法違反

 ・パワハラやセクハラといったハラスメント

 ・不合理な待遇格差

 

 その他次のような事例がある。

 法令関係のコンプライアンス違反事例

 【事例】

 ・食品衛生法に基づく表示が行われていない

 ・画像や文章などの無断転載、引用

 ・商標が登録された商品名と類似する商品を販売


 会計関係のコンプライアンス違反事例

 【事例】

 ・会計書類の文書偽装(架空請求、業務上横領など)

 ・粉飾決算

 ・脱税


 情報管理のコンプライアンス違反事例

 【事例】

 ・顧客情報の流出

 ・インサイダー取引







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