第3話 花音ちゃん
早川葵は一体誰に殺害されたのか?
「仕事関係の人達と嵐山に桜を見に行く」と言い残して出掛けたは良いが、旅行先の嵐山の奥まった場所で遺体で発見された。
その場所というのが竹林の小径を歩いて5分くらいの所にある「野宮神社」の雑木林から発見された。
この「野宮神社」は縁結び・子宝・安産などの神様がまつられているようで、若い女性やカップルが多く参拝に訪れる場所だ。
「仕事関係の人達と一緒に行く」と言っていたが、誰と出掛けたのだろうか?
その人達の足取りが全くつかめていない。
そこで早速右京警察の山城と飯田が捜査に当たった。
すると……防犯カメラをチェックしてみたところ、4月2日午前11時半頃キャップとマスク姿の早川葵の姿を特定できた。
そして……その時葵らしき人物が、有名なおばんざいの店に入って行く姿が目撃できた。それから数分後漫画家陸によく似た男がおばんざいの店に姿を消した。
陸には他にも多くの女の影がチラついている。それはそうだろう。日本の至宝だ。当然陸の周りには女たちが、我こそはと近づいている。
「野宮神社」は縁結び・子宝・安産などの神様がまつられているという事は、まさか早川葵が妊娠したとは考えられないだろうか?
陸らしき男と一緒だったという事は、陸の子供を妊娠した事で邪魔になり陸が殺害したという事だろうか?
早速陸の事務所を訪れた山城と飯田だった。すると……若い事務員が応対に出てくれた。
「こちらにどうぞ」そう言うと応接室に通してくれた。
「警察の者だが、田宮陸さんをお願いします」
「少々お待ちください」
暫く待つと陸が対応に出てくれた。
「嗚呼……何かありましたか?」
「早速ですが、女優の早川葵さんが殺害された事件はご存知ですか?」
「ハイ!お聞きしております。本当に次の作品に出演して頂こうと話し合っていたところでした」
「死亡時刻とされる2日前4月2日の夜6時から11時はどこに居はりましたか?」
「あの日の桜見物で嵐山に行きました。そこに殺害された早川葵さん、妹HINATA、天才子役前田花音ちゃん6歳と花音ちゃんの両親も同席していらっしゃいました。妹HINATAはおばんざいの店で食事を済ませ、直ぐマネージャーが迎えに来ましたので帰りました。そして……残ったみんなで桜見物をして4時頃皆と別れました」
「それを立証できますか?」
「私は6時から作家森田治との対談が、五重塔と満開の藤桜が並んで立つ東寺近くのレストランで対談がありましたので、聞いていただければ分かります」
「4月2日の正午ごろ嵐山の「おばんざい梅ノ木」に入らはったんは事実でっか?」
「そうなんです。「おばんざい梅ノ木」で皆で食事を取りました」
「貴方と葵さんが交際関係に有った事は裏が取れています。そして……「野宮神社」の雑木林で発見されたという事は、まさか…早川葵さんが妊娠したという事はありませんか?だって……「野宮神社」は縁結び・子宝・安産などの神様がまつられている神社です。そこで2人の間にトラブルが発生して殺害に及んだという事も考えられまっがな」
「いえ……妊娠なんて……司法解剖が行われましたが、そんな話は一切聞いていません。確かに交際関係に有った事は認めますが……」
「そうでっか?」
こうして……田宮漫画事務所を後にした山城と飯田だった。
「一体犯人は誰なんやろうな」
「あの日の桜見物の人物を片っ端に当たってみましょうよ」
★☆
あの日の桜見物の中には陸と早川葵、更には妹HINATAがいたが、辛辣な意見を物おじせずに言い放つ天才子役前田花音ちゃん6歳も一緒だった。それに花音の両親も同席していた。
あの日の出来事を再現してみよう。
この桜見物は妹HINATAが提案したのだが、HINATAは誰もが知るスーパ―アイドル。こんな大混雑の中何が起こるか分からないので「おばんざい梅ノ木」でランチは皆と共に取ったが、マネージャーとさっさと退散していた。
それでは……ランチタイムに何が起こっていたのか。
あの時最初に口火を切ったのは天才子役花音ちゃんだった。
「な~んだ。こんなおばあちゃんが食べるものなんかいらない!」
するとHINATAが言った。
「野菜は健康にいいのよ」
「あっ!大根おばちゃん。あっ……イヤ!ダイコンねえちゃん」
「花音何てこと言うの。いい加減にしなさい!ごめんなさいねHINATAさん、お父さんが甘いので……」
「お前も……言い過ぎだよ。HINATAさんも自分の一存で食事を決めるのはどうかと思います。まず子供の意見も聞いてもらわないと……」
この様に父がどんな時にも擁護するので、手の付けられない我がまま娘に変貌を遂げていた。
実はこの父親、銀行員を辞めて現在は花音のマネージャーをしている。
その為……この6歳児に一家の生活が重くのしかかっている。仕事仕事で遊ぶこともままならない花音ちゃんは、相当のストレスをため込んでいる。
最初は大人は偉い者、強い者と思って平身低頭を装っていたが、父が娘可愛さに花音が例え悪くても、理屈にならない小理屈を並べ立てて花音を庇ってくれるので、いつの間にか大人を大人とも思わない思い上がり幼児になってしまった。
花音は同年代の子供たちと遊ぶ事が出来ず、この芸能界が自分の全てだ。遊びたい盛りに遊ぶことも出来ず寂しくて、構って欲しいばかりだ。
★☆
当代きってのイケメン俳優だが、実は髪の毛が薄くアデランスを着用していた。
花音は天才子役で人気者なのでフル回転で回っている子役だ。あちこちの俳優さんや女優さんと顔見知りになっていた。
花音は丁度ドラマで一緒になったそのイケメン俳優の話が面白くて,暇に任せて楽屋に顔を出していた。だが、楽屋に綺麗な女優さんがあいさつに来てちっとも構ってもらえない。更には花音の存在を忘れて楽しそうに談笑している。そこで手を引っ張ったり、顔を触ったり、ひげを触ったり、最後に髪の毛アデランスを触っていた、するとどういう訳かポコンと桂が外れて禿げ頭が顔を出した。
「キャ――――ッ!」
それ以来綺麗な女優さんは顔を出さなくなった。
怒り心頭だったが、それでも…イケメン俳優も花音には口出しできない。あの猛獣父が付いているので仕返しが怖い。
それから……まあ何はともあれ……視聴率が取れる天才児と有って、周りが全てを許すのでどうにもならない。2人といない天才児。替えなどどこにもいない。
HINATAもまだ「18歳なのにおばさん扱い」は可哀そうだが、まだそれは良い方で、あるお嫁さんにしたい女優ナンバー1は、折角玉の輿に乗れそうだったのに玉の輿は海の藻屑と消えた。
実は……この女優AがIT企業の若き起業家と恋に落ち、結婚秒読み段階で捨てられてしまった事件があった。
一体何があったというのか?
それは花音ちゃんが両親が話しているのを聞いていたからなのだが、こんな事があった。
どうも……このAという女優は、お嫁さんにしたい女優ナンバー1は表の顔で、裏の顔は青森のレディースの総長でカツアゲ上等、やくざの手下で更にはヤクザ愛人と手の付けられないヤンキーだったことが判明。
「わたくしの趣味はお料理で得意なのが肉じゃがとお漬物で、特にぬか漬けが得意ですの。毎日欠かさずぬかをこねって、ぬかみそ管理に余念が御座いません。ほっほっほ😜」
あくまでもこれが表の顔で実態は違う!違う!😩
裏の顔はこれだ!!!
「オンドリャー💢さっさとま~るいもんでも何でもかっぱらって来んかい!!!……あっそれから…きらきら光るあれだ……あれ!ダイヤモンド💎それに……ブランド品早ようカッサラッテ来んかい!😠💢行け――――ッ!行け――――ッ!GO!GO!💢」
そこでIT企業の若き起業家✕は、天才子役花音との子供向け対談が行われたのだが、リハーサルだ何だと接する機会が増えていた。
そんな時にIT企業の若き起業家✕が楽屋に女優Aのポートレートを置いていた。
「あっ!島麗華だ。この人お嫁さんにしたい女優ナンバー1らしいけど……裏の顔は青森のレディースの総長でカツアゲ上等、やくざの手下で、更にはヤクザの愛人と手の付けられないヤンキーだったってお父さんとお母さんが言ってたよ」
何故両親が話していたかって……実は……両親は青森出身で島麗華は評判の悪だった。地元では知らない人がいないほどのワル。
こうして……破談になってしまった。
★☆
視聴率子役花音の存在はドラマ業界には必要不可欠。
何としてもフル回転して働いてもらうためには、暴力暴言そんなものはお構いなしで、野放し状態。
それでも…愛虚があり引っ張りだことなっている花音。
最近のドラマ視聴率と言えば10%なら御の字で、ドラマ視聴率平均値が5%~6%。
どうも……あの子の内に秘めた性格がそのまま作品に現れるらしい。毒を吐く部分が大バズリにバズっているらしい。花音の毒を吐く部分だけがビュンと視聴率を上げている。
それなので15年前の花音ちゃんが出演したドラマ作品は軒並み20%超え。
15年前のテレビドラマ視聴率は最高視聴率20%最低視聴率12,5%
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※可愛らしい手毬おにぎりと総菜の数々に京風おばんざい!たかがお惣菜と舐めて貰っちゃ困る。
【京風おばんざい! オクラと湯葉のおひたし、菜の花の煮浸し、若竹煮、かぼちゃのいとこ煮、たこと九条ねぎの酢味噌和え、壬生菜と油揚げのさっと煮、賀茂なすの揚げ浸し、 万願寺とうがらしのカリカリじゃこがけ、トロトロとろける!聖護院大根の煮物、天ぷら、お刺身、茶わん蒸し、自家製 からしれんこん、たたきとろろ、やきなす、やきしいたけ、もろきゅう、肉みそ生野菜、ひじき、生ゆば煮、きんぴら、肉じゃが、豆アジ開き、くじらベーコン自家製自家製 つけもの盛合せ等々】
HINATAはアイドル容姿が最も重要だ。だからおばんざい店を選んだ。
それはおばんざいは、ヘルシーで栄養バランス抜群だからだ。
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