がんばれ!あれくさ君!
秋犬
Amazonミュージックの話
音楽を流しながら何かを書いている。そういう人は多いだろう。その昔は勉強用に120分のカセットテープを買ってきていろいろプレイリストを作ったものだった(歳がバレる)。
しかし令和の世の中、とっても便利なものがある。
それは「あれくさ君」だ。
あれくさ君にいろいろ頼めば、できることはやってくれる。代わりにテレビ消してくれたり、キッチンタイマー代わりになったり、リマインダーになってくれたり。超便利。あれくさ君は本当に賢い。「藤井隆って誰と結婚したんだっけ……ええと、あの人、あの人だ。好感度高い……えっとー……アレクサ! 藤井隆は誰と結婚した!?」と尋ねると「藤井隆は、乙葉と結婚しました」と教えてくれる。あれくさ君は超賢いのだ。
そういうわけで、大体音楽はあれくさ君にお願いしていることにしている。特にこだわりがないので、適当に流したいときは適当に「アレクサー、ジャズ流してー!」というとジャズベストを流してくれる。大抵ジャズを聴いている。これでノラ・ジョーンズが頻繁に出てきて結構好きになった。今は夏なのでボブ・マーリーでも聴こうかと思ってる。
ただあれくさ君、元々が海の向こうの人たちが考えたアレコレなので日本の事情にはあんまり詳しくない模様。「80年代ポップスを流して」というと海の向こうのヒットソングがバンバン流れてくる。「おお、この歌は知っているぞ!」みたいな有名な曲ばかりなのでちょっと面白い。でも、聞きたいのは日本のヒットソングなのだ。
「アレクサ、懐かしのアニメソングを流して」
ちょっと抽象的だけど、リクエストしてみたらどうなるかな?
「アマゾンミュージックで、懐かしのアニメソングを、再生します」
そして始まるガンダムだらけのプレイリスト。
わかった、君がガンダム推しなのはわかった。
でも聞きたいのはいろんなアニソンであって、ガンダムじゃないんだよ。
「アレクサ、70年代のアニソンを流して」
「アマゾンミュージックで、70年代のアニメ楽曲を、再生します」
そして始まるダンシング・ヒーロー。
いやね、荻野目洋子好きだよ。コーヒー・ルンバのカバーが好きだったの。
だけどね、これは70年代でもアニメソングでもないのよ。
「アレクサ、90年代の日本のヒットソング流して」
90年代のヒットソング……求めるのはスピッツのチェリーとか、WANDSとか、安室奈美恵とかMAXとかGLAYとか、そういう奴だよ?
「アマゾンミュージックで、90年代の日本のヒットソングを、再生します」
そして始まるサザンの「真夏の果実」。
あー、90年代か。間違ってないわ。
そこからしばらく続くサザンの楽曲。
うーん……確かにサザンも90年代に流行ったかもしれないけどさあ。
90年代の曲! と言われるとちょっと違う気がするんだよなあ……。
もう一度リクエストしてみるか。
「アレクサ、90年代の日本のヒットソング流して」
「アマゾンミュージックで、90年代の日本のヒットソングを、再生します」
そして始まるサザンの「希望の轍」。
いや確かに流行ったかも知れないけどさあ!
……いやいや、AIに喧嘩を売っても仕方ない。
奴らは90年代のあの空気を知らないんだ。せいぜい平成の最後のほうの空気しか知らない幼児なんだ。たまごっちを求めて行列なんかしてないし、阪神大震災もオウム真理教も知識でしか知らないんだ。令和キッズのあれくさ君には数字の上でしかヒット曲を選別できないんだ。マジチョベリバ。
ちなみに、これを書きながらもう一度試してみました。やはり一番最初に「真夏の果実」がサジェストされたので再度同じリクエストをしてみたところ、エレファントカシマシの「今宵の月のように」が流れ、念のためにもう一度リクエストしてみると宇多田ヒカルの「Automatic」が出てきました。
やればできるじゃん、あれくさ君。
がんばれ!あれくさ君! 秋犬 @Anoni
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ソースの話/秋犬
★21 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます