24. ミラベーラ王国
ミラベーラ王国の
「ウェルカムバック・プリンス・ゴードン」
と書いた大きなポスターがたてられていて、ピンク色のフラッグがひらひらとゆれています。
「ぼくの時は、きいろい
とマリンが言いました。
「ずいぶんスケールがちがうわね」
べらが
「ぼく、あれを見た時、ものすごくうれしかっでちゅ。がんばって出てきてよかっでちゅ」
なんて、マリンはかわいいのでしょう。べらがマリンをだきしめました。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる」
とゴーちゃんがこうふんして、安全ベルトをはずして
「ゴーちゃん、あぶないからすわってちょうだい」
「べらちゃん、ぼくはゴーストだから、だいじょうぶなんだよ」
飛行機が止まり、タラップ《かいだん》が取り付けられると、
「ゴードン、ゴードン」
名まえをよびながら、みんなが走ってきました。
「みなさまが走っておられる」
とブルーノがあわてています。
「走るのは、
「はい。
ゴーちゃんが一番先にタラップをおりていくと、兄姉さん達がかけてきてだきしめました。末っ子プリンスのゴーちゃんは、年のはなれたお兄さんプリンスやお姉さんプリンセスから、どれほど愛されているのかわかります。
ゴーちゃんがみんなを《しょうかい》紹介しました。
「こっちがお兄ちゃん。上から、アルベルト、ベルンハルト、デミアン。お姉ちゃんは、アデーレ、コーネリア、マルグレットだよ」
「たくさんいて、おぼえられないぜ」
とモッヒです。
「すごい。ゴーちゃん、思い出したのね」
べらの目がまんまるです。
「うん、ジェットの中から、ぼくの国が見えたら、思いだしたよ」
「べらさん」
王子のひとりがうれしそうに近づいてきました。
「あら、あなたは、ドミニクさん」
王女も近づいてきました。
「べらさん」
「あなたは、マギーさん」
べらは去年の夏のはじめに、外国から来たどこかの国の
「すみません、ドミニクは
「あなた方は、プリンスとプリンセスだったのですか」
「はい。プライベートの
「お兄ちゃんは、べらちゃんのことを知っているの?」
ゴーちゃんがデミアンの
「そうだよ。とても会いたいと思っていた人なんだよ」
「さあ、お母上さまが首を
とブルーノが言いました。
金色と白の王宮の長い
ベットの上で、白いかお顔のやせた王妃が
「私のゴードン」
と王妃ができるかぎりの声を出しました。
「私の愛するゴードン」
「ママ」
ゴーちゃんはその
「私のかわいいゴードン、生きていてくれたのね。プリンセスがCikCikを見て、そんな話をしてくれたけれど、信じられませんでした。本当だったのね。私のゴードン、生きていてくれて、ありがとう。こんな日がくるなんて、祈りがつうじました」
「ママ、ぼくは生きていなかったよ」
「ああ、そうね。でも、こうやって会えて、うれしくてならないわ。ゴードンがいなくなってから、もう一度でいいから会いたい。だきしめたいと、そればかり、ねがっていたのよ」
王妃はゴーちゃんを
「これが私の
「ママ、ゴーストでごめんなさい。ゴーストのおかおでごめんなさい」
「いいのよ。おかおなんかあってもなくても、どうでもいいことよ。ゴードンが会いにきてくれたのですもの。ママはそれでいいの。ママはしあわせよ。ママは
「ママ、やせたよ。たくさんたべて、きれいなママにもどってね」
「わかりました。ママはもとのママにもどってみせます」
と王妃が泣きました。
それを見ていたみんなも、泣きました。そして、それぞれに自分のママのことを思って、泣きしました。どのママも、こんなふうに、子供に会いたいと思っていることでしょう。
「私のこの夢がどうか消えませんように」
「ママ、ぼくはゴーストなのだから、10月にはかえるんだよ」
「そうね。でも、10月までは
「そうだね。ママ。まいにち、いっしょだね」
ゴーちゃんは、仲間のみんなをママに
「ゴードンとなかよくしてくれて、ありがとう。とてもうれしくて、何とお礼をいえばよいのでしょうか。私はいとしいゴードンに会えたので、
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