9. ライオンのモッヒ
これまで
次はライオンのモッヒです。
来たばかりの頃は「レオ」と呼ばれていて、いつも
レオは「ぼうしが好きなんだぜ」と言って、朝から
そしたら、ヘアがモヒカンだったのです。それも、しおれた感じのモヒカン。
「どしたの、そのたて
クマハチの口から、そんな
「おまえはそれでもライオンか」
とトットが言いました。
トットが少し
レオはいつもはそんなことなんか気にしないのに、その時はちがいました。
「ひどいよぉ。ぼくはうす毛だけど、れっきとしたライオンだぜ」
と泣きだしました。
レオが泣いたなんて初めてだったので、みんな、おどろきました。レオは
それは洞穴(どうくつ)から吹いてくる風のように悲しそうで、みんなも、悲しくなってしまいました。
トットはまた
どうしようもなくなったみんなは、またべらちゃんのところに行きました。
べらはコンピュータに向かって、
トットが自分の
「ぼくは
とべそをかいています。
「What's done is done」
とべらが言いました。
「そういうの、日本ではふく水、
「
とトットです。
「トレイの上にのせたカップからこぼれた水は、もとにもどらないという
「じゃ、
とクマハチです。
「いや、これはたとえなのでね」
とべらが
「トットくん、およぎの
とクマハチが言いました。べらちゃんとレオをふたりだけにしたほうがよいと
「おまえ、およげるのか」
「今はクマハチだけど、もとはシロクマだったから、およぎは
「そうか。おしえてくれ」
べらちゃん、あとはよろしく。ふたりはレオをべらのところにおいて、
ふたりが出ていくと、急に
「レオくん、これまでもいろんなことを言われても気にしない大きな心のライオンだったのに、どうしちゃったのかな」
「これ」
レオはしゃくりあげながら、ポケットから
「りっぱなライオンねぇ」
「父さんなんだ。ライオン・キング」
とレオが
まさに、
「すごいお父さんねぇ」
レオの顔が少し
「お父さんのこと、すごくリスペクトしているのね」
レオが
「ぼくは・・・・・・」
レオの次の
べらはレオが落ち
レオがようやく話し
「ぼくはライオン
そうなのよね。べらがうんうんとうなずいて、ふり向きました。
「それは
「人間の世界でも、あるの?」
「でもね、日本には
「どうして」
「そのほうが、あらそいが
「265年もかぁ。すごいなぁ」
とレオは
「ぼく、この間、
「じゃ、わたしが
「でも、ぼくは
「どうして?」
「だって、ぼくは何もなしとげていない。帰るからには、ぼくは
「ああ、それを聞いてわかった気がするわ。
「べらちゃん、ありがとう」
「それで、これからどう進むのか、わかったの?」
「ぼくは考えたんだ。ぼくは生まれつきのモヒカンで、そのことがコンプレックスのもとだった。でも、これをいかして、ラッパーになろうと決めんだ」
「ラッパーって、何かをつつむ人のこと?」
「ちがうよぉ。ラッパーって、ラップを
「ああ、あれね。何を言っているのかさっぱりわからないけど、若い人には
「ぼくのこのヘアは、ラッパーになるためにあるんだって、気がついたんだ」
「ああ、そうね。そういうヘアのシンガー、いるわね。すごくよい考えだけど、レオくんは
「れんしゅうして、そのうちに歌ってみせるよ」
「
べらがそう言ってから、
「でもね、そのことと、トットくんに言われて
「それは」
レオの
「なにかゼッタイに言われたくないこと、言われちゃったんじゃない?わたしには、わかるの」
「べらちゃん、わかるの?」
「わかるわ」
「ぼくはこんなヘアだから、ぼうしをぬいだらライオンに見えないだろうなと、心の中ではびくびくしていたんだ。ゆうきをだしてぼうしをぬいだら、そのとたんに、おまえはそれでもライオンかって言われてしまったから、ショックだったんだ。でも、トットが
「そういうことよね」
べらはうで
「あるのよねぇ、
「べらちゃんにも、あった?」
「あるある、大あり。思い出すと、
「それって、何?」
「ごめんなさい。つらすぎて、まだ言えないの」
「そうなんだ」
「でも、言える時がきたら、さいしょに、レオくんに言うから」
「ぼくに、
べらから
「べらちゃん、やくそくだよ、きっと」
「べらはやくそくをを
とべらがどんと
「じゃ、やくそく
「いいの?今まで
「大事だから、あげたいんだ。それに、ぼくはこれからは、ラッパーのモヒカンとして、生きていくんだから」
「ラッパーとして
というわけで、その日から、レオの
イエーイ。
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