4. サンフランシスコへ
船が着いた場所は、フェリービルディングというところです。
フェリービルディングの前が、マーケット・ストリートという通りです。
そこには古いストリートカー(
そのストリートカーはダウンタウンの真ん中を走ります。
マリンはそのマーケット・ストリートで、37個のニオイを感じました。空気の中には、人、食べ物、車、
あの子のラベンダーのにおいです。やった! マリンは喜びました。
あの子は生きている!
このにおいを追いかけていけば、会える。
マリンはラベンダーのにおいをひろいながら、ダウンタウンを走り、カストロという通りを抜けました。カストロ通りでは、はだかのお
途中で
すると「ぐわっ」、はきそうになりました。ものすごくくさいので、この
朝になって、またあの子のにおいを見つけ、それを追いかけてフォーレストヒルというところにまできました。フォーレストは森、ヒルは丘という
フォーレストヒルというところは
ここには、あの子のにおいが、ありました。
そうです。あの子が住んでいるのはここです。
そのにおいがするのは、
マリンはその家の前に立ちました。
ぼくは、とうとう、ここまで来れたんだ!
人生、初くらいのうれしさです。
マリンは
マリンはドアベルを押しました。
「ごめんくだちゃい」
マリンは
えっ。
続いて、オットセイが顔を見せました。
ええっ。
この子は、ふしぎな生きものたちと住んでいるみたいです。
なぜ?
マリンは自分が
「
とライオンが言いました。
「ぼくはマリンといいまちゅ。ここに、若い人間の女の子がいまちゅか」
マリンはしゃべる時、スカンクの子供の
「いるけど。べらちゃーん、お客さんだよ」
あの子は「べら」という名前なんだ、とその時わかりました。あの子にぴったりのかわいい名前です。
「はーい」
中から、女の子が出てきました。
あっ、あの会いたかった子が、目の前にやってきたのです。
どきん、どきん。
「はい。わたしがべらよ」
マリンはうれしすぎて、ことばが出てきません。
「どうかしましたか」
べらがマリンの顔をのぞきこみました。
「あのう」
マリンの声がふるえてしまいました。
「どうして、来ないんでちゅか」
「えっ」
べらはきょとんとしました。さっぱり意味がわかりません。
「どうしてマリンヘッドランズに、来ないんでちゅか」
「えっ」
「前は来ていたのに、どうしてもう来ないんでちゅか」
その時、マリンはもうがまんがでなきなくて、くさいシャワーが出そうになりました。
「失礼しまちゅ」
マリンはにげました。
シャワーをがまんして走って行くと、ゴールデンゲートハイツという
あまりのくささに、公園にいた犬達が、オーナーをおいて、きゃんきゃんといって、にげていきました。
マリンはにおいをかがないように、その公園からにげて、今度はもっと高い所にあるグランドビュー公園というところに行きました。
長い
ここならだいじょうぶ。においも飛んでいくから。
マリンは真ん中にひとつある古ぼけた緑色のベンチのあしにしがみついて、何発もやりました。
その日、フォーレストヒルの人たちから、変なにおいがするというクレームがPGアンドEというガスの会社にいくつもきました。それで、会社から
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