そして未来へ

 また目が覚めた。最近はしっかり薬を飲んでいるので、症状は安定している。いつもの見慣れた天井の、見慣れたシミを見上げながら俺はつぶやいた。

「はぁ・・・家に帰りたい・・・。」


 あの時、俺の世界はすべてが壊れていた。24時間誰かに付きまとわれたり監視されたり、そして常に命を狙われ続ける恐怖から俺は壊れてしまった。うまく思い出せないのだが、親父だった肉塊とあの女だった肉塊は必死に命乞いをしながら、なくなってしまったらしい。デスペナルティを受けずに復活できていればいいのだが・・・。当の俺は玄関から先に進むことができなかったようで、室外犬のシルカは何とか無事だったようだ。


 その後は、りゅーちしょ(?)とか言うところに連れていかれたが、薬を禁止されていたためここでの記憶は一切ない。何でも薬を飲まないとダメな人たちは、皆ここで命を落としてしまうようだ。肉体的には健康に育ててくれた両親に感謝しないとと改めて思った。まあ生きていればどこかの狩場で会うこともあるだろう。その時にお礼を言っておけばいいだろう。


 空腹を覚えて時計を見ると16時に差し掛かっていた。相変わらず時計は俺のことをバカにしてくる。ここには掃除機がいないので、そこまで盛り上がらないようだが・・・。時計を壁に投げつけてやりたい衝動にかられたが、それをやると気持ち悪くなる注射を打たれるので我慢する。俺はなんとかのーりょくというものが欠落していたようで、ここでは誰も怒らない。ただ、すぐに注射を打って俺を眠らせようとしてくる。俺がどんなに切れ性であったとしても、何度も注射されていれば分別がつくようになる。


・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・


 俺は空腹に耐えかねて、食料をあさりに行くことにした。そう、この世界SWではモンスターを倒すと素材が落ちる。その素材を食料としてHPやSP、MPを回復させることができるのだ。「ゼリッピが落とすゼリークリームなんかが効率よく回復できるんだよな。」そんなことを思い返しながら引き出しを開けて武器を装備する。俺の相棒は菊一文字。切れ味が抜群の刀装備だ。ノック式で0.5mmのuni製だが、俺は長く愛用している。


 このドアの向こうには、2体の門番がいる。制服を着て物調面、しかも腰には武器を携えている。まずはこの2体を狩らないと、俺は自由が得られない。いつまでたってものこの6畳程度の個室から出ることができない。

「うおおおおぉぉぉおぉおお!!!」

そう叫びながら俺はドアをけ破った。右手に握られた菊一文字で、俺はこのSWの世界を制覇してやる。カンストプレイヤーの恐ろしさを見せつけてやる!そう思いながら俺は門番に襲いかかった


~fin~

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目が覚めてもニートだった俺は箱庭でナンバーワンを目指す たんぽぽあおい @street-99

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