装備しよう

「おはようメタリン」


目が覚め一発目にすることそれはメタリンへの朝の挨拶。

何気に今世で自分から進んで挨拶したのは初めてだ。


メタリンから「おはよう!主!」と返ってきた。


愛い奴め。そんな奴は撫でてやる。

メタリンのつるつるボディを堪能したあと早速焼き目が付いたパンとジャムを創造し食べた。

メタリンには百円玉を創造して食べさせてあげた。


「じゃあさっそくサーチ&デストロイだ!」


と近くにいたスライムの群れを倒し、探索を続けた。


レベルは上がらないが面白いものを見つけた。

青い狸が出しそうな扉。ピンク色ではないがぽつんと扉だけが佇んでいた。


「なんだこれ?メタリンわかる?」


わからないと返ってきた。


なんだろうこれ。と開けてみたら。大きな部屋があった。

そしてその中央には緑色の肌をしたオレと同じくらいの人がぽつんと一人で立っていた。

あいつもしかしてと思い鑑定してみた。そしたら案の定


*ゴブリンLv5

一等級


ユニークスキル

・火属性魔法適正


と出た。


うおーー!ゴブリンだ!ファンタジー定番の奴だ!しかも剣持ってる!

と大興奮していたら向こうがこっちに気づ、きぐぎゃぎゃ!と声を荒げながら近づいてきたのでオレはやべぇ!と思い扉を思いっきり閉め。メタリンを転がしながら走って逃げた。


「あいつもしかして扉から出られない?」


と待てど待てどゴブリンが扉から出る様子はなかった。

恐る恐る扉に近づき開けてみると、最初の場所にゴブリンが佇んでいた。


もしかして次の階層かどこかに行く門番的な存在か?

と考えにいたり、扉を開けて外から氷を飛ばそうとしたが扉に入る直前で消えてしまった。


「んー、中に入らないと魔法とかの攻撃は一切通らなくなるのか?」


と思い、思い切ってメタリンと中に入った。

ゴブリンは背を向けているためこちらには気づいていない。

と俺も後ろを見てみたら扉が消えていた。

退路を断たれめちゃくちゃ慌ててしまった。さらに追い打ちとゴブリンがこちらに気づき先ほど同様鳴き声を発しながらこちらに走ってくる。


慌てて先ほどの氷の魔法を打ち込んだ。

そしたら顔面に命中しゴブリンは倒れ消滅した。

正直怖かった。

へっぴり腰の状態で両手を前に出した状態でガタガタ震えていた。

少し呆然としていたらメタリンがオレの足のつま先をちょんちょんとぶつかってくる。


「メ…メタリーーン」


をオレはしゃがみ込みメタリンをナデナデした


メタリンが「大丈夫!僕がいるよ!」と言ってくれた。

マジで結婚できるならメタリンと結婚したい。


それはさておき、冷静になってゴブリンがいた方向に目をやるとまた新たに扉が現れていた。


扉の前まで行き慎重に開けたらさっきの場所につながっていた。

オレは考えた。

ここはいったいどういう場所なんだ?

てっきり門番がゴブリンで倒したら次のステージに行くのかと思っていたのだがと考え扉をくぐる。

扉は残っており、再度開けてみると別空間の平原、ゴブリン部屋に入る前の平原につながっていた。


つまりはこうか?

オレの推測はあたり。ゴブリン部屋を攻略したため次のステージに来たがほぼ同じのステージだったということか?


じゃああのゴブリン部屋は本当に門番なんだ!それを倒して次のステージにこれたんだ!

と喜んでいるとメタリンがいきなりうにょうにょと動き出した。


「ど、どうしたのメタリン!大丈夫」


メタリンからの返答は「主。もしかして装備ってこれのこと?」と返答


そしてメタリンはいきなりさっきのゴブリンが持っていた剣になった


オレ呆然


数秒後


メタリンから「あるじー!」と叫ぶように聞かれてハッと意識を戻す。


「そうだよ。それが装備で剣ていう攻撃するための武器だよ」


メタリンから「やっぱりー。緑色の奴と何回か会ったことあるけどみんな何か持ってたんだよねー」との返答


メタリンがゴブリンにあったことあるのは初めて知ったがそんなことよりメタリンが装備になることができた。

だがしかし


「メタリン。重くて振ることできない」


メタリンの体重がそのまま剣になっているためか持ち上げることで精いっぱいだった。


メタリンから「ごめんねぇ」と謝罪された


メタリンが装備になることはできたのは良いのだが振れなければ意味がない。

そこで創造魔法でドレスアーマーを着たキャラのぬいぐるみを作り出し、メタリンに提案してみた。


「ねぇメタリン。こんな感じで私の全身に張り付けて篭手から剣を作り出すみたいなことできないかな?」


と提案したら


鉄があったらできる!との返答。


早速創造魔法で鉄をめちゃくちゃ作り出しメタリンに食べてもらった

しきりに大丈夫?苦しくない?と聞いてしまったのはご愛敬


そしてオレは下着と靴だけを残しすべて脱いでメタリンを装備し歩いてみた。

漫画とかのドレスアーマーはブーツやスカート胸当て篭手と別々になっているが、メタリンは同じように形を作りそれをつなげている。そのためメタリンが補助をしてくれているように感じになり重さは感じなく、それどころかさらに素早く動くことができるようになった。

何より肌に当たるところだけメタリンのスライムとしての弾力を残してくれてるおかげか、痛くもなく超絶快適だった。


そして当の本人は「これで主と一緒にはしれるー!」なんてかわいいこと言ってる。


「ねぇメタリン。オレの肌が直接当たっちゃってるけど嫌じゃないの?」


とちょっと気になってみたので聞いてみたら


「一緒に走れるから嫌じゃないー」


とのこと。そういうわけじゃないんだけどなぁ……と思ったがモンスターと人間の感覚はやっぱりちょっと違うのかと実感した。


メタリンからこんなこと聞かれた


「主―、これからこの状態で主と一緒にいてもいい?これなら主のこといつも守れるよ!」と聞かれた。


オレからしたら成長に合わせてメタリンに鉄を渡すだけで調整してくれるのはうれしいがやっぱりメタリンはあのまん丸い姿が好きなのでちょくちょくその姿になってねとお願いしておいた。「うん、分かったー」とのこと。


まぁ、デメリットは二つある。

ひとつはメタリンの丸々とした姿を見ることができないこと。

まぁこれはさっきも言った通りたまに元の姿に戻ってもらうことで解決。

もう一つが


「ねぇメタリン。部分の色変えれたりしない?」


そう、メタリンの元の体の色一色なのだ。

なんというか鼠色の粘土で作っただけのドレスアーマーって感じだ。


「うーん、色のついた鉱石か砂があれば行けるー」


との返答があったので乾燥した絵具を創造してみたら。頑張ってみると言って取り込んだ。


結果は………………


「いけるー」


オレは大歓喜

早速様々な色を取り込んでもらいあれこれと二人で話し合い、メタリン装備の色を変えてもらった。


ちなみにメタリン本体の色はどこかに残しておかないと駄目だったこともあり無難な色に落ち着いた。


でここでさらに気になったことをメタリンに聞いた。


「メタリン、めっちゃ話せるようになってない?」


そう、昨日は感情、肯定否定、できて単語しかしゃべれなかった。それが今日では声こそ出せないが心で会話しあってる感じなのだ。


「んーわかんない!」


「そっかー。わかんないかー。ならしょうがない」


まぁこれに関しては良いことでしかないので変に考えるより無視してもいいだろうと思った。


そして第二階層(こっちの方がゲーム感あってよきという感じでそう呼ぶことに決めた)の探索を開始した。

さっきまでワイワイしても何も近寄ってくる気配がなかったのでいろいろ探し回った。

メタリン装備を着て。ドヤ


スキル〈気配察知〉を使用しながら探索しているとなんと。スライムだけではなくゴブリンまで出るようになったのだ。

まぁ門番みたいにユニークスキルを持っている奴はいなかったが


そしてメタリン装備をきて初めて近接戦をしてみた。

そこでオレは初めて自身の手で生き物を殺すっということをした。

手にはこの感覚は一生忘れないだろうと思うような感覚が残る。

そんなオレの考えているときにメタリンが


「主―!僕の剣どうだった?」


と聞いてきた。そうだオレはこの子を使って殺したんだ。


「うん、……とてもいい剣だったよ。…………そのごめん」


オレはこの子にもその感覚を覚えさせてしまったことに罪悪感を覚えてしまった


「どうしたの?あるじ?」


「いやメタリンを使って生き物を殺してしまったから。オレの世界ではそんなことほとんどありえないことだったから。だからごめん」


そうやってメタリンに謝罪したら。


「主。敵を倒さないとこっちが倒されちゃうよ。僕は大丈夫だよ!だって主を守れたから!」


あぁこの子は本当に………


また涙ぐんでしまい小さな声でありがとうとお礼いった。


「えへへ、どういたしまして!」といって嬉しそうな感情が伝わった。


この子だけは絶対に………………


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