第6話 捌ききれんわ!

 龍ヶ崎と土宇陀の激突から数日が経過した。

 あれ以降、ますます強くなりたい願望が強くなった龍ヶ崎はクラスメートとバトルしては助言を求め、自分もクラスメートに助言をするようになった。最初に指導した身としては嬉しい限りだ。それにより龍ヶ崎はクラスの中心に、幼馴染みの神里は休み時間の合間や、放課後は龍ヶ崎にベッタリと引っ付き、邪魔な虫がつかないようにしていた。

 そして俺はボッチとなった。

 当然の結果である。友人作りに失敗した俺には周りに人がいるはずもなく、幼馴染みと数多くの友人に囲まれた龍ヶ崎がボッチである俺に気を遣う暇もあるはずがない。こんな俺を憐れんでか、前に見た気がする白い靄がまたシャイガールのカードに現れていた。

 というわけで、一人で放課後カドショに直行する。今日は最近行ってた明後日を向く店員のいる店ではなく、家から一番近いカドショに向かった。小さい店だが、雰囲気も相まって子供より大人の方が多い店だ。







 ゆったりとした音楽が流れる個人店に入る。ここのショーケースの中身は、前に言ったが、この土地にカードが落ちてくるブラックホールが出現したことで、店長が店を構えることにしたのだ。だからこそ、ショーケースの中身は見たことのないカードが存在する、掘り出し物の多い店だ。


 ………お、このカード良いな。これも良いけど…これはデッキに入るか微妙だな。こっちは完全ロマンだな。

 この店は、一度入った客の相性の良いカードがブラックホールから出現しやすいらしく、俺も"前から"何年も通っていたせいか、レイスデッキに相性の良いカードがよく見つかる。

 とりあえず、これを買おうかな。



「おぉぉぉ!!」

 お?

 何があったのか近付いてみると、顔馴染みである自宅警備員の皆さんがいた。

「どうしたんすかー?」

「おや、レイキくん。」

「何!?見てくれ見てくれ!ついに俺の手元にパートナーが来たんだ!」

 そうやって見せてきたのは海下泳司さん。通算五十四戦五十一勝三敗で俺が勝っている。

「おぉ!おめでとうございます!えーと……」

 俺がもっとよく見ようとすると、カードを隠された。

「おっと!それ以上は有料だぜ?」

「……乗った!」

「オーケー……なら!」

「「ビートを刻め!!!」」




エイジ一ターン目

「俺のターン、エレメントにカードを置き、クマミンをクリエート。ターンエンドだ。」

 カクレクマノミのような魚を呼び出す。エイジさんは海洋生物デッキとなっている。


レイキ一ターン目

「ドローエレメント。浮遊する魂をクリエート、ターンエンド。」


エイジ二ターン目

「ホントお前は引きが良いな。

 ドロー、エレメントにカードを置き、メタコンをクリエート。効果でワンドロー。」

 メンダコのようなファミリアだ。

「ターンエンド。」

「え?攻撃しないんすね。」

 いつもなら馬鹿の一つ覚えのように殴ってきた人の、いつもと違う動きにはてなが浮かぶ。

「あぁ。今までの俺とは一味違うぜ?」

 あぁーパートナーカードを手に入れたんですからそりゃそうか。こうなると、並べて強くなるタイプか?


レイキ二ターン目

「ドローエレメント。影踏・トビマルをクリエート。」

「チッ、厄介なのが出やがったな。」

「ふふ、ターンエンド。」


エイジ三ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置き、ミシーをクリエート。

 ターンエンドだ。」

 ミシーはウミウシのようなファミリアだ。


レイキ三ターン目

「ドローエレメント。デクレイション、怨嗟の叫び声。山札の上二枚をセメタリーに置き、セメタリーからカードを一枚回収。

 ターンエンド。」


エイジ四ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置き、デクレイション、"繋がる大波"!フィールドにいる自分のファミリアの枚数以下のコストを持つ相手のファミリアを破壊。トビマルを破壊だ!」

「流石にか……」

「何回戦ってると思ってんだ?俺だって対策ぐらい立てるさ。ターンエンド。」


レイキ四ターン目

「ドローエレメント。タマヒメをクリエート。」

「参ります………」

「トラップにカードを置いて、ターンエンド。」


エイジ五ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置き、コスト五でクリエート!"支配の大海・シャクーラ"!」

 …これがパートナーか。

 それはちょくちょく別の魚の特徴を持つサメだった。

「登場時効果により、自分のファミリアの枚数分、相手のファミリアを手札に戻す!」

 …キッツいな。

「ターンエンドだ!」


レイキ五ターン目

「ドローエレメント。浮遊する魂とバット・バードをクリエート。」

「くっふっふ、レイキ。焦ってるだろ?そんな顔が見れて嬉しいぜ?」

「……ターンエンド。」


エイジ六ターン目

「ドロー、デクレイション!繋がる大波!バット・バードを破壊!」

「く……!」

「シャクーラで攻撃!」

「ライフ。」

「クマミンで攻撃!」

「トラップ発動!"背後の気配"!セメタリーにいるコスト三以下のファミリアをバトルフィールドにクリエート出来る。

 トビマルでプロテクト!」

「う!クマミン!」

 なんとか減らせたが………

「メタコン、ミシーで攻撃!」

「どちらもライフ!」

レイキライフ六→三

「ターンエンドだ。」

「ターン終了時、トビマルは破壊される。」


レイキ六ターン目

 まずい……これじゃあお披露目会でのかませになっちまう………

「ドローエレメント。」

 あの人、元々小型ファミリアをポンポン出すタイプだから手札が残らない。つまり、俺の戦略の半分が無駄……!

「トラップを置いて、カッターガールをクリエート!」

「今ヤバめじゃーん!」

「カッターガールでメタコンを攻撃!」

「うわ、ぐにゅったー!」

「^¥{□₩{₩{₩{)……」

 カッターガールでメタコンを破壊する。

「ターンエンド。」

 次はトラップでなんとか………


エイジ七ターン目

「ドロー、コスト五で"這い寄るコバメ"をクリエート!」

 最悪だ………!

 それはコバンザメのような見た目であり、エイジさんがパートナーを持つまで切り札だったファミリアだ。

「登場時効果で、自分のセメタリーにあるスペルカードの枚数だけ、相手のトラップを破壊!」

 …………

「ふっふん!これで……」

「サレンダーっす。」

「………え!?いやいや、これからだろ!?」

「いや、これ続けてもジリ貧で結局俺の負けですから。」

「……納得はいかねぇけど、仕方ないか。」

 

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