第5話 三強の激突(俺を除く)

 今日は一年一組と一年二組の合同実習だ。

 一年一組は龍ヶ崎をじっと見て、一年二組(俺含む)は土宇陀をじっと見ている。

 俺?俺はそこまで目立ってないから、学校内でもパートナーカードを持ってるだけのパンピー扱いされてるぜ!

 にしても、土宇陀は完全に闇に行きそうな雰囲気だ。目はギラギラさせて、不敵な笑みを浮かべている。

「それでは、事前に引いてもらったクジを出してください。同じ番号の生徒と戦ってもらいます。」

 一年一組の担任である下木先生がメガネクイッ!をしながら指示を出す。

 今日の授業で使えるのは十台。一クラス四十人でそれぞれ十グループに別れて戦う。戦わない時間はデッキ調整や見取りとなる。


 お、三番のバトル台に龍ヶ崎が向かったな。相手は………お、土宇陀だ。運命力ってやつ~?


 注目カードだけあって、三番には大量の生徒が見守る。十番の台にいたっては、人気が無さすぎて可哀想だ。本人達もこっちのバトルが気になるのか、目線が完全に三番を向いている。無事、成仏してくれ。

 



ヨクトライフ五 手札二枚 トラップ一枚

        ファミリア ハート・バード


ガンヤライフ五 手札二枚 トラップ0

        ファミリア 守・フィンガー

              守・レッグ


ヨクト四ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置いて、クリエート!音速の叫び・ジャミングドラゴン!」

「へ、そいつが噂の…か。」

「ターンエンドだ。」


ガンヤ四ターン目

「俺のターンドローエレメントにカードを。トラップを設置し、コスト四でクリエート。"攻・ボディ"。

 登場時効果で、種族にパーツを持つファミリアの数だけワンドロー!

 ターンエンドだ。」


ヨクト五ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置いて、エレキドラゴンをクリエート!

 登場時効果で、エレメントのカードを一枚手札に戻し、山札の上から一枚をエレメントに。

 ジャミングドラゴンで攻撃!」

「くらえぇぇぇぇ!」

「効果で、カードを二枚破壊!」

 選択されたのは攻・ボディと守・レッグ。

「守・フィンガーでプロテクト。」

「へ!良いのか?ハート・バードで攻撃!」

ガンヤライフ五→四

「ターンエンドだ。」


ガンヤ五ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを。コスト五でデクレイション、"古代の歩み"!

 セメタリーにあるパーツを持つカードを三枚山札の一番下へ。こうして三枚置くことができれば、手札から完全体を持つカードをクリエート出来る!」

「な、なんだ!?この地揺れは!?」

「手札から、不死身の岩身・コラープスをクリエート!」

「Graaaaaaaaa!!!」

「登場時効果で相手のトラップを一つ破壊!」

「くそ!」

「ターンエンドだ。」


ヨクト六ターン目

「俺のターンドロー、エレメントにカードを置いて、二枚目のジャミングドラゴンをクリエート!

 ジャミングドラゴンで攻撃!コラープスとお前のトラップを破壊だ!」

「フッ……」

「何がおかしい!?」

「いや、幼稚なバトルだな…と思っただけだ。」

「なんだと!?」

「分からないなら、しょうがないな。」

「どう考えても、俺の方が有利だろ!」

ガンヤライフ四→三

「ハート・バード、エレキドラゴンで攻撃だ!」

ガンヤライフ三→一

「ターンエンドだ!」

「その時、コラープスの能力発動。手札を三枚セメタリーに送ることで、コラープスをセメタリーから復活させる。」

「そんなもんかよ!」

「このカードをセメタリーから復活させた時、このカードが破壊された時にバトルフィールドにあったカードがもつ能力を一つ選ぶ。その能力をこのカードが破壊されるまでその能力を得ることができる。もちろんジャミングドラゴンの破壊効果だ。」

「な!?」


ガンヤ六ターン目三枚

「俺のターンドロー、トラップにカードを置く。

 守・フィンガーを二枚、攻・フィンガー、ブレインコアをクリエート!」

「一気に四体も……!?いや!まだ俺には届かねぇよ!」

「フッ…ブレインコアの登場時効果でセメタリーから一枚回収し、そのカードをトラップへ。

 コラープスで攻撃だ!それにより、お前のファミリアは全て破壊……!」

「みんな!」

「そしてここでトラップ発動!"吸収"!」

 コラープスの後ろにブラックホールのようなものが現れると、他のファミリア達を吸い込んでいく。

「選んだコラープス以外のファミリアを裏向きにセット。このカードが破壊されるまで、裏向きに置かれたカードの枚数分ライフを削る!」

「そ…んな……つまり……」

「ちょうど、ぴったりだな?」

「クソォォォォ!!」

「コラープスで攻撃!」

ヨクトライフ五→ゼロ

「ぐわぁぁぁぁ!!!」




 面白いな。ただ、今の俺のデッキだと勝てる見込みはないな。とりあえず、それが分かっただけでも収穫か。


 ちなみに、無事三強の一員として役目を果たせたと記しておく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る