第4話 モブの話は聞かれない

「っし!ジャミングドラゴンでとどめだ!」

「うわぁ!!」

 前に龍ヶ崎とタッグバトルをしたカドショで、龍ヶ崎が年上をバッタバッタとなぎ倒していく。

「ハート・バードでとどめだ!」

「ぐは!?」

 難癖をつけてきた高校生に真っ向から受けて立ち、全て返り討ちにしている。え?俺?やだよ。なんかあの高校生はまともなのか、一人一人順番にやられにいってるからな。

「エレキドラゴンでとどめだぁ!」

「ナニィ!?」

「「「お、覚えてろよぉ!!!」」」

 悪は去ったな。つーかあの店員まぁた明後日向きやがって。ここの店員あいつしかおらんのか?

「ふぅ…すまんレイキ。俺が誘ったのに……」

 俺が心の中で悪態をついていると、龍ヶ崎が申しわけ無さそうに喋る。

 ちょっとおちょくってやろ。

「別に良いよ。それより、あの幼馴染みは良いのか?ほっといて。」

「や、やめてくれよ……別にずっと一緒なわけないだろ?」

 ん?なんか…喧嘩でもしたのか?なんとなく後ろめたそ…

「あぁぁ!いたぁ!」

「ひ!」

「この声は………」


 カドショの扉を開けて、ズンズンと龍ヶ崎に近付きながら、だんだんと表情が笑顔になっていく。

 あれ?おかしいな…さっきまで修羅のような顔をしてたのに……

「もぉぉ!なんで私に何も言わないで出掛けるの!?私が嫌いなの?」

 満面の笑みで龍ヶ崎の手を握る。

 うわぁ……めんどー………

「あ、いや違くて…たまには他の友達とも遊びたいなって………な!?レイキ!!!そうだろ!?お前が誘ったんだもんな!?」

 あ、てめ!ふざけんなよ!?俺に擦り付けやがって。こいつはお前優先なんだから、そんなこと言ったら絶対俺のせいになるじゃん!

 俺が睨んだのに対し、龍ヶ崎は助けを求めるような、懇願するような顔で俺を見つめる。

「あ……」

 その瞬間、修羅が俺を認識した。

「あなた………ヨクトと同じクラスの、誰だっけ?」

「あ…はい……狭間霊生と申します………」

 なんだ?この圧……中学生の女子が出していいもんじゃないぞ!?

「私は神里季三夏よ。」

 存じておりますぅ…………

 俺は恐怖で身を縮める。

「……あぁあなた、ヨクトと同じ三強に数えられてるんでしたっけ?」

「えぇ、まぁ。光栄なことに。」

「でも、あんなの所詮子どもが作ったもの。パートナーカードっていう分かりやすい目印で区分けしたに過ぎないわ。」

「えぇ、ごもっともで。」

 逆らったら殺される!

「そんなあなたに、真の強者であるヨクトの相手が務まるのか、見させて貰うわ。私だって、ヨクトに友達がたくさん出来たら嬉しいしね。」

 どーせこうなるわけね………

「準備は?」

「いつでも……」

「ビートを刻め!」

「ビートを刻め………」



イザナ一ターン目

「私のターン、エレメントにカードを置いて、

"先駆・チュータ"をクリエート!」

「チュッヂャ!」

「ターンエンドよ。」


レイキ一ターン目

「ドロー、エレメント。」

 イザナは速攻か……少しキツいな…………

「浮遊する魂をクリエート。

 ターンエンド。」


イザナ二ターン目

「私のターンドロー、エレメントにカードを置いて、トラップにカードを設置。ステップ・ラビをクリエート!」

「ラッビ!」

「チュータで攻撃!」

「チュヤ!」

レイキライフ六→五

「ターンエンド。」


レイキ二ターン目

「ドロー、エレメント。トラップを設置。

 "タマヒメ"をクリエート。」

「参りましょう………」

 タマヒメはトビマルやウエモンと同じ世界だと思っている。純白の花嫁衣裳が半分以上赤黒く、血のようなもので染まっており、雰囲気的にトビマルやウエモンの主君だと思う。

「ターンエンド。」


イザナ三ターン目

「私のターンドロー、エレメントにカードを置いて、デクレイション!"主神の導き"!エレメントのカードを一枚セメタリーに送ることで、山札の上から三ドロー。その時、セメタリーに送ったカードの種族に地支があれば、さらに一枚ドロー。」

 俺はもう一度手札を見る。…………勝てないんじゃね?

「チュータで攻撃!」

「チュヤ!」

「浮遊する魂でプロテクト!」

 とりあえず、これで凌ぐ!

「その時、トラップ発動、"威厳放つ獣の塔"!自分の地支を持つカードが破壊される時に発動する!手札二枚をセメタリーに捨てることで、対象のカードは破壊されない。

 さらに、捨てた二枚のカードで地支を持っていた場合、そのカードをエレメントに置く。

 そして、このトラップは破壊されるまで永続的に効果を発揮するわ。」

 あれ……?俺より強いな…………

「ひとまずターンエンドよ。」


レイキ三ターン目

「ドロー、エレメント。"バット・バード"をクリエート。」

「…クールに行くぜ。」

 龍ヶ崎がよく使うハート・バードが黒に染まった感じだ。効果はレイスを持つカードのコストを一下げる。

 タマヒメでチュータもラビも破壊できるが、手札が二枚ある以上、またエレメントを増やされる。

「ターンエンド。」

「あら、ひよったの?」

「戦略的…だよ。」

「そうだと嬉しいわね?」

 見透かされてるな……


イザナ四ターン目

「私のターンドロー、エレメントにカードを置いて、コスト五を支払って"瞬足・スーホー"をクリエート!」

「ヒッヒィ~~ン!」

 馬か。やっぱ、十二支か?

「スーホーはスピード状態!攻撃!」

「く…ライフ!」

 スーホーはパワーが高いが、他はプロテクトで返り討ちに出来る。神里の手札も一枚だから、神里のファミリアを減らせる!

レイキ五→四

「スーホーの攻撃後、山札から一枚ドロー!」

 ………マァ~ジ?

「チュータで攻撃!」

「チッ!浮遊する魂でプロテクト!」

「その時、威厳放つ獣の塔の効果発動!」

 そうして、神里はさらに二枚、エレメントを増やした。

「ターンエンドよ。」


レイキ四ターン目

「ドロー、エレメント。」

 速攻かと思ったが、これはこれで厄介だな。

「バット・バードの効果により、コスト四でカッターガールをクリエート!」

「イェーイ、今たーのしー?」

 カッターガール、推測だが、リスカして出血多量で亡くなった感じ。

「タマヒメで攻撃!」

「せい!」

「ライフ。」

イザナライフ六→五

「カッターガールで攻撃時に、効果発動、相手の手札をセメタリーに送り、それがファミリアであれば山札の上から一枚をエレメントに。」

「あげてこーよ!」

「く!ライフよ」

 よしよし、補充完了と。

イザナライフ五→四

「バット・バードで攻撃!」

「くらいな!」

「ライフ。」

イザナライフ四→三

「ターンエンドだ。」


イザナ五ターン目

「私のターンドロー、エレメントにカードを置いて、コスト八を支払い、"巨躯の溜め込み・ウカウ"をクリエート!」

「モオォォォォォォ!!」

「登場時に、エレメントのカードを好きな数セメタリーに送る。私は…全て選ぶわ!」

「なに?」

「そうして選んだ枚数分、山札とセメタリーと手札から、バトルフィールドにいない地支の種族を持つカードをただで出す!」

 最悪の踏み倒しだな!

「いってらっしゃい!私の可愛い動物達!」

 ……壮観だな。一体竜おるけど………

「さあ、これでもまだ続けるつもり?」

「当たり前だ。勝ち目はあるぜ?」

「ふ~ん。なら見せて貰うわ!チュータ、ラビ、スーホーでまとめて攻撃!」

「全てライフ。」

レイキライフ四→一

「ふん!ターンエンドよ。」


レイキ五ターン目

「ドロー、エレメント。ふふ。」

「急に笑いだして、気持ち悪いわね?」

「いやいや、お前が俺のカードに詳しくなくて助かったよ。バット・バードの効果で、コスト六を支払って、浮遊する魂から"全てを飲み込む者・ハーデンこんにゃく"に進化だ!」

 前の鉄峰戦でお世話になった。そして、今からもな!

「'¥8□1~~~~~~!!!」

「それがなんだっていうの?私にはプロテクト出来る子達が……っ!?皆どうしたの!?」

「ハーデンこんにゃくの効果で、相手のファミリアを全て、強制アクション状態にする。」

「そ…んな……」

「お前もヨクトと一緒で、トラップを怠ったな。」

 まぁ、今日の俺は人のこと言えないけどネ。

「タマヒメ、バット・バード、ハーデンこんにゃくでとどめだ。」

「きゃあぁぁぁぁ!?」

イザナライフ三→0



「くうぅ……負けた………」

「神里、強かったな。」

「そ。」

「でも、トラップを使わないのは龍ヶ崎と同じで、問題だな。」

「ヨクトと……同じ……?」

 ん?なんだ……?

「あ、あぁ。ヨクトもトラップを使うことがあまりなかったからな。最近は改善されたが。」

「そっかー、私はヨクトと一緒かぁー!」

 すげぇ、嬉しそう……

「うん、ソウダネー。」

「まぁ、仕方ないわ!ヨクトと一緒にいることを認めてあげる!」

「っす。あざまーす。」

 ……他の友達探すか……

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