第5話 友情のおまじない

 C子が最後の紙を置き、A子が三枚の紙で正三角形を作る。

「これでよしっと。そしたら唱えるよ。いい?」

三人が手を繋ぐ。

「これって、眼を閉じた方が良いのかな」

B子が確認する。

「別に書いてないから、眼を開けたままでも良いんじゃない。B子はいいね。C子も、始めて大丈夫?」

「いいよ」

「じゃあいくよ、せーの」


 三人で、呪文を唱える。

「ばびるんだ、ほれいしょ」

「ばびるんだ、ほれいしょ」

「ばびるんだ、ほれいしょ」

唱え終わる。別に何も起こらない、今は。

何か起きるのは、翌朝だ。


 A子が笑顔で二人を見る。

「これで私達、卒業してもずっと一緒ね」

「うん、一緒一緒」

「そう、永遠だね」

「どんな困難な上り坂も、ずっと一緒に乗り越えていこうね」

三人は笑顔でハイタッチをした。

机を元に直して、一緒に下駄箱へ向かった。


 下駄箱へ向かう階段の途中、A子が気づいたように言った。

「でも、おまじないの効力は翌朝からだから、今日のうちにケンカして絶交とか、それ絶対なしね!」

三人で笑いあった。

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