第2話 ゴーストになった?
いったいこれからどうやって生きていけばいいんだ。先程見た壮絶な光景を思い出し、これから先の生活に不安が募る。
近くに人里があるのだろうか。もっと言うとこの森に出口があるのだろうか。食べ物や水はどうやって確保すれば、どこで寝れば安全なのだろうか。今は何時頃なのだろうか。
やらねばならない事の多さの前に、どうしても楽に済むことを考えてしまう。このままここで息絶える方が楽なんじゃないか......
といっても楽に死ねる方法を知ってる訳でもないし。
「動いてないと余計なことしか浮かばないや。取り敢えず動くか!!!」
そして考えることを放棄した。
まあ、なるようになるか!
元来適当で流されがちだったマイナスな性格が、ここにきて自分の精神を支える面で活きることとなった。
木に登れば周りが見えるか?と思い立ち、木に手をかけようとした時、目に映る体の部位に違和感を感じる。
「手が透けている??」
ひとつ違和感を感じると思い出したかのように先程までの不自然だった行動に気づく。
あれ。
俺はなんで花に触ることが出来なかったんだ?
蜘蛛から走って逃げたのか?こんな木が密集している中を全速力で?
この危険な森で気配を察知した蜘蛛が"ゆっくり"と後ろを向くことがあるのか、、、?
慌てて全身を確認する。。手は透けている。体も透けている。足は、、、ない。。。空中に浮いている。
え?ゴースト的な存在になっちゃった?
1時間ほどだろうか、体の状態を把握し、自分が出来ることを確認する。横方向はスムーズに動けるな、、歩いているのと変わらないくらいの速度で移動できる。縦方向、つまり空へ浮かぶのはかなりゆっくりであれば可能という事がわかった。降りる時はまあまあな速度で降りることが出来る。上昇と、上昇した後の横方向への移動がとんでもなく遅い。
自由に空飛べたら楽だったんだけどなぁー。
でも空は気持ちいな。太陽からの温かい日差しも、どことなく吹く心地よい風を感じることはないのだが、気分はいいものである。
そしてもう1つ、この体に食事や睡眠がいらないのではないかということ。
全力で移動しても息切れや疲れを感じることも、お腹が減った喉が渇いたそんな人間っぽい感覚を、どこかに置いてきてしまったようにまるで感じない。人間では無いことを強く実感させられる。
人だったはずなんだけどなぁ。と昔のことを思い出そうとする。が上手く思い出せない。
あれ?俺は、、俺は、、、、、。名前を思い出そうとするが、全く思い浮かばない。どんな事をして生活していたのかは思い出せるのに、自分が何者だったのかということだけが全く思い出すことが出来ない。行動と感情が切り離されてしまっているかのように。まるで最初から存在していなかったとも思えるほどに。確かにそこに居たはずなのに自分の存在だけがあやふやで。。。
ぽっかりと空いてしまった心の隙間に、大きな寂しさを感じる。俺は一体なんなんだ。なんだったんだ。。。寂しさに押しつぶされそうになる。
ただ、寂しさは感じるということに、完全に人間をやめていない事に少し安心もした。
「ふぅ。」
少しその場に漂いながら気持ちを整える。
今はこの森から抜けることを考えよう。
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あとがき
話を書きながらいろんな展開が思い浮かんで楽しいですね。ゆっくりお話を進めて行けたらと思います。(・v・)
投稿に関してはなるべく早めにできたらと思っています。
一話が短いや長い等の意見くださるとありがたいです。(・o・)
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