第7話 【棘針の巣窟】
翌日。
俺はFランクダンジョン【
さっそく中に入ろうとした、その直後。
(……ん?)
その時、入り口近くにたむろする数人の冒険者が目に入った。
装備の整い具合からして、全員レベルは20を超えていそうだ。
パーティーであることも考慮すれば、【棘針の巣窟】の攻略推奨レベル18よりかなり高めである。
(まあ、ここはゲームじゃなく現実なんだし、安全志向が強いのかもしれないな。それに
そう結論を出した後、俺は改めて【棘針の巣窟】の中に入るのだった。
ダンジョンの中は、薄暗い洞窟上の迷路になっていた。
昨日攻略した【新兵の鍛錬所】に比べ、かなり雑多な印象を受ける。
「キィー!」
「シュー!」
探索を続けること数分後、さっそく数体の魔物が現れた。
小さなウサギの魔物が一体と、鋭い刃を持つカマキリの魔物が一体だ。
――――――――――――――――――――
【ポイゾネスラビット】
・討伐推奨レベル:12
――――――――――――――――――――
【パラライズマンティス】
・討伐推奨レベル:14
――――――――――――――――――――
「来たか」
俺は呼吸を整えながらショートソードを構えた。
ポイゾネスラビットの尻尾には猛毒が、パラライズマンティスの刃には麻痺毒が付着している。
ここ【棘針の巣窟】は状態異常をテーマにしたダンジョンでもあり、ソロでの攻略は推奨されていない。
状態異常――特に麻痺にかかった場合、一人では挽回の手段がなくそのままやられてしまうからだ。
もっともそれは、普通のプレイヤーならの話。
「要するに、攻撃さえ受けなければ何も問題はない」
そう呟いた直後、ポイゾネスラビットが鋭い尻尾を伸ばし、パラライズマンティスが低い位置から刃で斬りかかってくる。
どちらも速度が速く、回避に徹するのは難しいだろう。
だが今の俺には、新しく覚えたスキルがある。
「パリィ」
その場に直立したまま、ショートソードを素早く二度振るう。
軽い火花を散らし、尻尾と刃は軽々と後方へ弾き飛ばされた。
衝撃により、ポイゾネスラビットとパラライズマンティスは大きく体勢を崩している。
これもまた、【パリィ】が持つ大きな魅力。
パリィによって攻撃を弾かれた直後、相手は隙だらけになることが多い。
そこに、的確な追撃を与えてやれば――
「はあッ!」
「キィー!?」「シャー!」
渾身の二振りが命中し、力尽きた二体がその場に崩れ落ちた。
『経験値獲得 レベルが1アップしました』
『ステータスポイントを2獲得しました』
鳴り響くシステム音。
それを聞いた俺はこくりと頷く。
「よし、この調子でガンガンいくぞ」
そこからも順調に攻略を進めること一時間。
さらに一つレベルが上がったころ、俺はボス部屋に到着した。
扉を開け、一人で中に入っていく。
するとそこには、大量の針が映えた尻尾が特徴的なトカゲが存在していた。
「ステータス」
唱えると、目の前に情報が出現する。
――――――――――――――――――――
【
・討伐推奨レベル:18
・ダンジョンボス:【棘針の巣窟】
・狡猾なトカゲ。その尻尾に生えた針には様々な毒が仕込まれている。
――――――――――――――――――――
針蜥蜴。保有スキルは【ニードルショット】。
その名の通り、尻尾に生えた針を飛ばしてくる攻撃が特徴的だ。
体に掠りでもすれば、状態異常にかかってしまう。
コイツを倒す上では、徹底的に攻撃を回避することが重要だ。
「まあ、それさえ分かっていれば大した敵じゃない。さっさと継承祠への道を開けてもらうぞ」
俺はそう告げた後、針蜥蜴に迫っていくのだった。
――――――――――――――――――――
ゼロス・シルフィード
性別:男性
年齢:15歳
紋章:【無の紋章】
レベル:14
HP:140/140 MP:70/70
筋 力:27
持久力:14
速 度:27
知 力:14
幸 運:14
ステータスポイント:0
スキル:【パリィ】Lv.1
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