ホームルーム

校舎内に入ると、路上での視線とは全く違う視線が注がれた。

『あの服可愛い!』『何年何組だ?』『あの服いいな!』

そう言いたげな、好奇心のつまった視線。

悪意はなさそうだし、恐らく女子だとは思うが私と同じような服の子もいる。

まずクラスへの案内などのために職員室へ向かう。

張り紙通りにドアを3回ノックし、ドアを開けた。

「今日からあけび野学園に転入しました、2年…えっと、あ、8組の出席番号2番の藍沢です。桐ケ谷先生はいらっしゃいますか?」

ドアの近くにいた大俵おおだわら校長先生が桐ケ谷先生を呼んでくれた。

「お、藍沢さん、今日から改めてよろしくね。8組担当の桐ケ谷です。

早速クラスの方に向かいましょうか。」

桐ケ谷先生は20代半ばくらいの優し気な女の先生。担当は英語だそうだ。

「ここの校舎広いからねぇ、迷子にならないようにね!」

「はい」

校舎内を軽く周っていく。

校舎は体育館舎を含め6校舎と、本当に広い。ただ、2,3学年は全て10クラス、1学年に至っては15クラス、全部で40人で35クラス、合計は驚異の1400名という人数の多さ。先生も130名もいるそうだ。恐ろしい。

「2年8組は第4校舎の2階です。しっかりと覚えておいてね。」

「分かりました。」

色々としているうちに、早めに来たはずなのに始業時間になった。

2年8組に着くと、先生は教室へ、私は廊下で待機だ。

「皆さん、おはようございます!」

「「おはよーございますっ!」」

「新しいクラスメイトの紹介です。

皆さん、今日の1時間目は予定していた学級会ではなく、自己紹介の時間とします!では、入ってきてください!」

静まった教室内に、私の上履きの音が響く。

「自己紹介、お願いします!」

「はい。今日からこのクラスに転入してきました、藍沢華貴です!華枝って呼んでください!部活は家庭科部に入ろうかなと思っています。見ての通り、男子、だけどいつもロリータファッションなんですが、気にしないでください!あと猫も大好きで、もし飼っている人がいれば教えてほしいです!よろしくおねがいします!」

緊張していた割にはかなり上出来な自己紹介だったと思う。

静まっていた教室内に、大きな拍手が響いた。

「藍沢さんへの質問等は、1時間目の自己紹介時間にお願いします。

藍沢さん、席は前から3列目、真ん中の列のあの空席ね。永井さん、案内してあげてね。」

永井君は、さっき校門で見た野球のユニフォーム男子だ。

「はいっ! 藍沢、こっちこっち!」

永井君が指さしてくれた席に座る。

「よろしくな、藍沢!」

「永井君、よろしくね!」

「あ、俺一応女だぜ!呼び捨てで良いよ!」

「あ、ごめん…」

「いつも間違えられるし、初めて会ったんだから仕方ないだろ。

俺は永井優麻ゆうま。よろしくな、華枝!」

「優麻、よろしくね!」


「今日はC時程4時間、1時間目学活、4時間目が社会から数学に変更になります。

夏休み明け、気を引き締めて頑張りましょう!

学級委員成澤さん、あいさつお願いします。」

「起立!気をつけ。ありがとうございました!」

「「ありがとーございました!」」


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新シリーズ始まっちゃいました。

お久しぶりです。猫原です。

名前が「みこ」から「獅乃」に変わりました!

次は一時間目、自己紹介です!

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