個性爆発・あけび野学園!転入生はロリータな藍沢くん

猫原獅乃

第1話 プロローグ

「華枝!初日から学校遅れてどうするの!」

専業主夫のパパ・藍沢優は男の人には見えない。ひげが無く、元からの茶髪をゆるふわポニーテールにしていて、前の学校の子達にも可愛い、オシャレとクラスで1番人気のパパだった。

「今用意してるよ!」

「華枝、仕事行ってくるぜ!頑張って来いよ!」

実は元ヤンらしいママ・藍沢佳麗かれいは、ママの好きな野球チーム・楽天ゴールデンイーグルスを意識したらしい深紅のスーツが良く似合う黒髪ベリーショートの綺麗な人だ。こちらもクール系な女子メインにクラス1人気だったママ。

「行ってらっしゃい!頑張る!」

そして私、藍沢華枝、本名華貴はなきは一応男子中学生。

ロリータファッションと猫をこよなく愛する第一中、

いいや今日からあけび野学園の2年生。

前の前に登校していた学校・悪夢の中央中から逃れるように引っ越してきた第一中の皆は、制服がリボンにスカートの僕でも優しく受け入れてくれた。

だけれども、ママの仕事の都合でまた引っ越すことになってしまった。

ピコンッ!

「ん?」

スマホを見ると、第一中の学年グループから大量のLAIN某メッセージアプリではありませんが届いていた。

雅『華枝、あけび野中でも頑張れ!!!!!!』

H.R.『あけび野中楽しんでね!応援してるよ!』

碧『我が道を突き進め!かっとばせー、は・な・え!』

rinto♦『何をかっ飛ばすのw。とにかく華枝、頑張れ!近況報告よろです!』

舞風『あけび野中って人数多いんだろ?楽しそうだな!頑張れよ!』

そんな感じのメッセージが60件。私たちの学年は私を入れて61人だったから、全員からLAINが届いたことになる。

思わず眼の奥が熱くなった。

『みんな、ありがとう!本当にありがとう!頑張るよ!』

夏休み明けの真夏の空気を思いきり吸い込んで、覚えたてのあけび野学園への道を歩み始めた。

街行く人々が私を二度見する。

まあ、通学時間帯にロリータを着ていて、染めてないけど染めたように見える茶髪で、これまたもともとの髪質であるクルクルの髪をツインテールにした一見女子中学生の私は異端な存在だろう。

その視線を無視しつつ、10分ほど歩くとあっという間にあけび野学園に到着だ。

…え、めちゃめちゃ校舎綺麗じゃん…ビルかよ…

しかも小学校が付属しているのではというくらいに校舎がでかい。

それに服装も、私服の学校なだけあって皆個性的だ。

プロ野球チームの応援用ユニフォーム(選手名&背番号入り)を着ている子、

メイド服みたいなものを着ている子、スーツを着ている子。

まるで文化祭か何かの日なのでは、というくらいカオス。

何だか楽しい学校生活になりそうだ。

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