「真夏の太陽は全てを燃やし尽くしてしまうようだ」

るいたにかげ

「真夏の太陽は全てを燃やし尽くしてしまうようだ」

蜜柑みかん農家の夏の鬱蒼うっそうと茂る

雑草抜きの仕事は

思っていた以上にキツかった

瀬戸内海の広大な山の斜面に

抜いても抜いても生えてくる

大自然の草木を相手に手作業で処理してゆく


もう逃げたい


正直に思った

(そこまで思いつめて考えていたわけではなかったが)

でもここで逃げたら何か大切なものが

失われるような気がして

手は抜かなかった


時々、人生のあらゆる局面で

この夏の日のことを思いだす


ここだけは逃げれない

そんな苦しい日々が人生には確かにある

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「真夏の太陽は全てを燃やし尽くしてしまうようだ」 るいたにかげ @ruitanikage

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