1−❷ 母と呼べる人

凪沙「契約って…どんな…?」

 私は少し怖かった

 いつもと違う奥様がそこにいるのが

 でも、前にもこんな感じになったことがある

 それは…


 過去


凪沙『きゃ〜〜〜‼︎』

誘拐犯『うるせぇ‼︎黙れ‼︎』

凪沙『放して‼︎放して‼︎』

せつなの母『凪沙‼︎いきなさい!貴方達‼︎』

護衛『はい‼︎』

 そうして護衛の人たちは誘拐犯を半殺しにした

 私はその時すごく怖くて泣いていた

 今でも思い出すと震えてしまう

凪沙『奥様…奥様…!もうだめ…!これ以上やったら死んじゃう!』

 そう私は奥様に泣きついた

せつなの母「凪沙がそういうなら…。』

 そう言って奥様は護衛達を止めた

 そして奥様は誘拐犯に近づいた

せつなの母『誰に手出してるのよ!このクソ野郎‼︎』

 そう言って奥様は誘拐犯をぶった


 現在


 その時も今の雰囲気とそっくり

せつなの母「契約の内容は主に3つよ。」

凪沙「3つ⁉︎」

せつなの母「ええ。1つ目は、今いる姉妹全員ここで暮らすこと。」

凪沙「え⁉︎ここで暮らす⁉︎」

せつなの母「ええ。今いるあなたとお姉さんと妹さん、全員ここで生活しなさい。」

凪沙「いや、ちょっと待ってください!そんな急に言われても…‼︎お母さんが許してくれるとも思えませんし…。」

せつなの母「だから、そのために、2つ目。あなたのお母さんに1000万円をあげるわ。」

凪沙「え⁉︎でも、悪いですよ!そんなの‼︎」

せつなの母「いいのよ。昔から私はあなたのことを自分の娘だと思って可愛がっていたもの。これくらい、全然大丈夫よ。」

凪沙「確かに…。今まで色々と…お世話になってます…。」

せつなの母「いいわよ。さ、3つ目。それはあなたのお母さんが産んだ子は全員うちに連れてくること。」

 私は驚いた

 けど、奥様の顔を見て[この人は本気だ]と思った

凪沙「全員ですか?」

せつなの母「ええ。名前はあなたのお母さんにお任せするわ。」

凪沙「なるほど…。でも、やっぱり…。」

せつなの母「遠慮しないで。あなたも、お姉さんや妹さん達に楽してほしいでしょ?」

凪沙「確かに…。そうですね。」

せつなの母「なら、お母さんに自分が犯している過ちに気づいてもらいましょ。」

凪沙「はい!」

せつなの母「契約成立ね。」

せつな「なぎと姉妹になれるの⁉︎」

せつなの母「ええ。向こうのお母さんが許してくれたらね。」

凪沙「許してくれると思います。」

せつなの母「じゃあ、書類を作るわ。」

凪沙「ありがとうございます…!」

 私は嬉しい気持ちでいっぱいだった

 

 それから、いろいろなことがあった

 お母さんに書類とお金を渡して見せた

 そうしたら、余裕でOKを出してくれた

 そして、姉と、妹達と荷物をまとめて母に別れの挨拶をする時


凪沙「お母さん、ここまで育ててきてくれてありがとう。さようなら。」

母「ええ、元気でね。また、下の子ができたら、面倒見てあげてね。」

 母はそう微笑んだ

凪沙(ここまで人任せな人だったなんて…。)

桜良「お母さん、最後くらい涙を流してくれたっていいじゃない…。」

 そう泣き出したのは3歳上の姉の桜良(さくら)

柚莉香「ママだっこ〜。」

瑠璃香「わたちも〜!」

 そう母にだっこを要求するのは4歳下の双子の妹の柚莉香(ゆりか)と瑠璃香(るりか)の2人

母「え〜?いやよ〜。せっかく今日からお別れなのにだっこなんて…」

里々愛「ゆり、るり、私とひまでだっこしたげるから、そんなひとからは離れよう。」

 と、母親から2人を離すのは1歳下の里々愛(りりあ)

陽麻里「うん。」

 と小さな声で言うのは3歳下の陽麻里(ひまり)

 つまりこの家は、桜良(10)→凪沙(7)→里々愛(6)→陽麻里(4)→柚莉香(3)→瑠璃香(3) でできている

凪沙「じゃあ、もう出るから。」

桜良「さよなら。」

 最後の会話はそれだけ

 それから私たちは鎌田家に行った


 ピンポーン


せつなの母「いらっしゃい!さ、中に入って!」

せつな「わぁ‼︎この人たちみんななぎの姉妹たち⁉︎」

凪沙「そうだよ!」

せつな「よろしくね‼︎私ここの家に住んでる、凪沙の大親友のせつなです!」

桜良「私は桜良、凪沙のお姉ちゃんだよ。」

里々愛「私里々愛‼︎よろしく〜‼︎」

せつな「よろしく〜‼︎」

 里々愛とせつなはハイタッチした

せつな「貴方は?」

陽麻里「陽麻里です…。よろしくお願いします…。」

せつな「そんなテンション低くしないでよ〜!」

陽麻里「え…?」

せつな「じゃあ〜、我が家の新ルールとしてテンション低い人はお母様の肩揉み20回ね‼︎」

凪沙「お!いいね〜‼︎奥様、いいでしょ⁉︎」

せつなの母「ええ、もちろんよ。私も嬉しいわ!」

陽麻里「…ふはっ!ありがとう…。」

 陽麻里はその時すごく笑顔になった

凪沙(陽麻里が笑ってる…!)

柚莉香「ママ〜!」

瑠璃香「ママ…!」

桜良「この人はママじゃないわよ!奥様って呼びなさいね。」

せつなの母「いいえ。私のことは、お母様と呼びなさい。」

凪沙「え?でも、それだと…。」

せつなの母「言い忘れてたけど、貴方たちには完全にうちの子になってもらうからね。」

桜良「え⁉︎」

せつなの母「旦那にも言ってあるわ。娘のように扱えって!」

凪沙「そんな…!いいのですか?」

せつなの母「ええ!いいわよ。あ、でも働く時は『やなえ様』って呼んだらいいわ。」

凪沙「いえ、お仕事の時は『奥様』で…。」

やなえ「ダメよ、許さないわ。」

凪沙「そんなぁ…。」

やなえ「本当は働くのもやめさせたいくらいなんだから。」

凪沙「それは大丈夫です!」

やなえ「そう言うから、それは勘弁してあげるだけだからね。」

凪沙「はい。これからも頑張りますね!」

やなえ「期待しとくわ!」

 コンコン…

 部屋をノックする音が聞こえた

やなえ「入りなさい。」

使用人「失礼致します。ここの6人様宛に手紙が届いております。」

桜良「え?誰からかしら。え…離央くん…?」

 離央(りお)とは、幼馴染の兄弟の長男だ

桜良「中…開けていい?」

凪沙「うん…。」

桜良「開けるね…。」

 そして開けた時に書いていた言葉とは………

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