31 かわいいかわいいみずきさん!

 やっっと、ことりさんと約束していた待ち合わせ場所のカフェに着いた。


「…ひさしぶりにこんな走ったかも」

息を吐きながら独り言を呟く。


ああ、ことりさんを待たせていなかったらいいなぁ…


「そんなに疲れちゃってどうしたの?」


後ろからことりさんの声がした。


「どうしたのって…ことりさん!?」

「あはは、ひさしぶり。りりあちゃん。

とりあえず席に着こうか〜」

「あっはい」


「そういえば、ことりさんってバイト先変えたんでしたっけ?」

「うん。変えたよ。りりあちゃんと初めて出会った思い出のカフェだったから変えたくはなかったんだけど、閉店しちゃったから」

「…ちょっと寂しいですね」

「うん。でも、これからもっと色んなことが変化していくし、仕方ないことだよ〜。

だから、これからも思い出を作っていけばいいじゃん?」


ことりさんが天使のような笑顔をした。


あたしはことりさんの笑顔がだいすき。

あなたがいない時も、寂しい時も、苦しい時も、嬉しい時も、泣いちゃいそうな時も、楽しい時も、ずうっと脳裏にあなたの笑顔が浮かぶ。


そんなあなたの笑顔に、あたしは自然と救われてた。


「これからもずっとあたしといてくれるんですか?」

「勿論!はやく同棲したいくらい!」

「…それは少し早くないですか」

「そう?もう良い時期じゃないかなー?」


「それよりね、私、りりあちゃんに伝えたいことがあるんだよね」

「なんですか…?」

「私のこと、みずきって呼んでほしいの!!!

ちゃんと名前で!!!」

「…みずきさん」

「うん!!かわいい!」


「ずっと間違った名前の呼び方しててごめんね、みずきさん」

「全然いいよ〜。可愛かったし。」

「…可愛いだけじゃだめでは?」

「何言ってるの〜!可愛いは正義だよ!」

「可愛けりゃなんでもいいんですね」

「そんなことはないよっ!りりあちゃんだけはなんでもいいの!」

「…なるほど」



これからもあたしたちはきっと共に切磋琢磨しながらも生きていくだろう。病めるときも、健やかなる時も。


喧嘩だっていくらでもするだろうし、泣く時だってあるだろうし、一緒に笑い合う時だってあるだろう。


みずきさんといる時間が何よりも愛おしい。

世間の常識からかけ離れた存在になっても、あたしはあなたと一緒にいたい。ただそれだけだ!






かわいいかわいいことりさん! 終わり




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