28 四人の約束
「明日、四人で花見しない〜?」
ことりさんとソフィアさんとあおとあたしの四人のライングループに通知がきた。
「そんな急になんですか?」
「いいじゃない!準備なんてすぐ間に合うものじゃないのかしら?」
「いいね!じゃあどこの公園にする?」
「ちょ、ちょっと話聞いてるんですか!」
「そうね〜?
「そこいいですねっ!結構有名ですしね!」
「…まぁいいけど」
あおの返信で会話が途切れた。
翌朝、あたしは約束している時刻の5分前には目的場所に着くように電車に乗った。
「この時間帯って、意外と人多いんだ…」
時刻は7時30分49秒。大体の社会人の出勤時間だし、学生の通学時間でもある。
だけど、今日は日曜日!大人は大変なんだな…。
大人にはなりたくない。だって、早く起きて支度しないといけないし。まぁ、今の生活とあまり変わりはないけれど、休みが少ないのがひたすらに嫌だからあたしは大人になんかなりたくない。
いつかあたしは大人になるんだろう。なりたくなくても、必ずなるもの。世間様が望む理想的な大人の範囲内に入る人間になれるかはわからないけれど。
もし、そういう人間なれなくてもあたしはいい。
ことりさんの隣でずうっと笑えているのなら。
「次は青波峯公園駅です」
駅員の声が電車内で鳴り響く。
この駅で降りる人は中々見たことない。春が来れば降りる人は多いけど、それ以外の季節に降りる人は少ない。
いつしか、この駅が花見以外の用で降りる人が多くなればいいのになぁ〜。
そんなことを考えながら、電車を降りる。
あたしはこの瞬間が好きだ。なにかの終わりがきたみたいで。
きっと、今からゆっくり歩いていっても、約束している時刻には公園に着く。というか、少し早すぎたかな?まぁいっか。
「公園前にもこんなに桜咲いてるんだな」
桜が満開していた。
こんなの人生で一回もみたことない。未知なものを見るって楽しい。
「…もうみんないるじゃん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます