26 二人だけの海

「‥で、どこの海に行くの?」

「あはは、決めてない」

「じゃあ、駅から2分で着く海があるので、

そこいきましょ!」

「賛成!」


あたしたちは電車に乗って、そこへ向かった。


電車に乗ってる際、ことりさんがスマホで海のことをたくさん調べていて、めちゃくちゃワクワクしてたのが可愛かった。


「駅からでも見えるんだね〜!海」

「夏にぴったりな風景ですよね」

「夏じゃないけどね」

「春でしたね!」

「冬かもしれないよ?」

「三月は冬に入るんですか?」

「微妙すぎ」

「ですね」


何気ない会話を交わしながら、駅を出て、

海の方へ向かった。


「三月なのに、なんでこんなに暑いんですかね」

「晴れの日は年中暑いよね」

「そうなんですか?」

「そうでしょ!」


海の周辺に着き、砂浜を歩く。


「海、入ってみる?」

「いや、絶対寒いと思うんですけど…」

「寒くても二人ならやってけるよっ」

「それ、ここで言う言葉じゃないですよ」

「たしかに、肝心な時に言う言葉だね」

「肝心っちゃ肝心ですけど」

「肝心なの?これ」


ことりさんの手を握る。

やっぱり、あったかくて触り心地がいい。

こんなに空気は寒いのに、ことりさんだけはあたたかい。


「海、入りましょうよ」

「え?制服‥」

「これで着るのは最後なんだから、いいでしょう?」

「でも、りりあちゃんは…」

「大丈夫です」

「…じゃあ、いっか」


手を繋いだまま、海に飛び込む。

水が飛び散って、なにもかもが濡れた。


「大胆な飛び込み方しちゃったね」

「オリジナリティがあって、いいです」

「まぁ、ありきたりではないけど」


「ずぅーっと、ことりさんと海に行きたかったんですよ。」


あたしは彼女の方を向いた。


「わたしも行きたかったよ。りりあちゃんと」

「へへ、両思いです」

「元からでしょ」




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