25 貴方に贈る一輪のバラ
side 尾場瀬あお
「トルコキキョウ、綺麗だったわね〜!」
「花好きなん?」
「もちろん〜!小さい頃から大好きよ。
特に、バラが好きなの〜!」
「‥この近くにさ、花屋ってある?」
「ええっと、駅前にあった気がするわ〜!
お花、くれるの?」
「うん」
ソフィアさんは一瞬驚いた顔をした。
けど、すぐ笑顔になった。
「尾場瀬ちゃんがくれるものなら、
なんでも嬉しいわ〜!」
「なんでもは言い過ぎじゃない?」
「言い過ぎじゃないわ〜!」
花屋に着いた。
花についてそんなに知らへんけれど、
バラは唯一知っている花だし、
全然大丈夫かもしれない。
「ここで待ってて!」
「ええ、待ってるわ〜」
花屋に来たのは人生で初めてだ。
母さんは大体通販でお花を買っているから、
花屋に行く機会はなかった。
こんなに、花に囲まれるもんなんか…
そんな事を思いつつ、
たくさん花がある中から、バラを探す。
確か、色によって花言葉が変わるんだったっけ?
あんま覚えてないけど、黒色やドット柄は、
あんまり良くなかった気がする。
本数とかも意味あったんやっけ?
まぁ、それはいいか。
ようやく、バラを見つけ、レジに持っていき、
お会計を済ます。
急いで、
ソフィアさんが私を待っている場所に行った。
「卒業、おめでとうございます」
濃いピンク色の一輪のバラを渡す。
「ありがとう、尾場瀬ちゃん!」
ソフィアさんは、嬉しそうだ。
見ていると、私も嬉しくなりそうだ。
千都世が私に抱いている気持ちと、
似たようなものかもしれない。
ソフィアさんを心の底から尊敬しているんだと
確信した。
「本数によって花言葉が違うこと、
知っているかしら?」
「え、いきなりなに‥?」
「一輪のバラの花言葉はね、
"一目惚れ"って意味なのよ〜!」
ソフィアさんに言われた瞬間、
体が一気に熱くなった。
「え、いや、りりあみたいに一目惚れなんかしてないです!違います!からね!」
「尾場瀬ちゃんも混乱すると、
敬語になるのね〜」
「そんなこと気にしないでください!
私は貴方を尊敬してるんです!あくまで!」
「うんうん、既に知ってるわ!」
「じゃあ、なんで!」
「いじりがいがあるから、ただそれだけよ!」
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