20 尾場瀬あおと日野ソフィアの対面談

Side 尾場瀬あお


「尾場瀬ちゃん〜!こんにちは〜!」

背後から話しかけられる。

「日野さんじゃん

何の用や?私は暇じゃないんやけど」

「そんな敵対しなくても!

ちょっとお話しない〜?少しだけでいいから〜」

「…少しだけならええで」

「尾場瀬ちゃんは優しいねぇ」

日野さんはふふっと笑った。


私達はカフェに行き、2人用の席に座った。

「尾場瀬ちゃんは何が好きなの〜?」

「飲み物はカプチーノ以外やな」

「なんで、カプチーノが嫌いなの?

もしかして、りりあちゃんが関係してるの?」

「……日野さんは何が好きなん?」

「私?私はブラックコーヒーよ。

ところで、なんでカプチーノが嫌いなの?」

「しつこい人は嫌われるよ」

「怒ると関西弁を言わなくなるのね」

「まぁ、それが本質やな。

隠さないほうが良いから言うけど、

りりあが関係しているのは確かやで」

「それ、話してくれる?

私は尾場瀬ちゃんにすごく興味があるんだ〜」

日野さんは不気味な笑みをした。

何を考えているか全く分からない。


「私は、りりあが好きだった。」

「今も好きじゃないの?」

「りりあが小鳥遊さんと付き合ってから、

この恋は実らないと確信して諦めた」

「つまり失恋ってことねぇ。

尾場瀬ちゃんがりりあちゃんのことを好きだったのは意外だったわ」

「そんなに?」

「そうね」

日野さんは何回も頷く。


「失恋してから、カプチーノが嫌いになった。

前までは、カプチーノを飲むたびにりりあのことを思い出すのが快くて、よく飲んでたけど飲まなくなった」

「失礼してから、元好きな人の好きなものを嫌いになる…あるあるね」

「てか、何が言いたいん」

「何も言いたくないけれど?」

「何も言いたくないなら聞くな」

「言いたくないけど聞くわよ」

「めんどくさ」

「めんどくさくてごめーんねっ!」

「腹立つ」

「ふふ、そんな尾場瀬ちゃんもかわいいよー」

日野さんはゆるやかに言った。

一体、この人は何を言ってるんだろう。

かわいいとか、あるあるとか、意外とか。

どの要素も私にはないのになあ。


「そういえば、尾場瀬ちゃん。

言いたくなかったら言わなくてもいいのだけれど

聞いて良いかしら〜?」

「言いたくないことなんてないから、

なんでも聞いてええで」

「羽ちゃんって…」

「なんで羽川のことを疑問に思うの?

貴方の前に姿を全く見せないから?」

「…尾場瀬ちゃんには全てお見通しかぁ」

「いつか言うと思ってたよ。

羽川はりりあに振られて高校を転入した。

会ってもただ苦しいだけだからってね」

私がそういうと、ソフィアさんは悲しげな顔をする。


「な、なんでそんなに悲しんでんの?」

「恋愛って人を狂わすのね」

「せやな…賭けみたいなもんやし」

「尾場瀬ちゃんは今恋したくないの〜?」

「もう懲り懲りやな。」

とある友達は、「尾場瀬みたいに友達としていられたら良かったのに」とか言って高校転入したし…。












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