13 朝、弱いんですね

ことりさんの家のお風呂場は広い。

お風呂は温泉並みに大きいし、間隔も広い。

あたしは、少し気になっていたことがあった。


それは、

ことりさんが使用してるシャンプーは何なのか。

あたしは、ことりさんが使用しているシャンプー、コンディショナー、ボディソープなど何から何まで知りたい。

シャワーを浴びず、ただひたすらシャンプーの名前を凝視していると、ことりさんがお風呂場に入ってきた。


「…何してるの?りりあちゃん」

ことりさんが目を隠しながら言った。

「何もしてないですよ

なんで目を隠してるんですか」

「目に毒だから」

ことりさんが言っていることがわからない。

何が目に毒なんだろう?

あたしは何も理解できず、ただことりさんを見ることしかできなかった。


「…恥ずかしいんですか?」

「うん、それに近い」

「少し聞きたいことがあるんですが」

「なに?」

「あたしのこと、どう思いますか」

「…かわいい」

「それだけ、ですか?」

「…」

ことりさんは何も言わなくなる。

まだ目を隠している。こっちを見てほしい。


「ことりさん、こっちみてくださいっ」

あたしはことりさんが目を隠している手を離す。

手を離した瞬間、彼女はこちらを見て、

頬を赤く染めた。

「…そろそろシャワー浴びない?りりあちゃん」

ことりさんは恥ずかしそうに言った。

人とお風呂に入るのが久々だから、

緊張しているのかな?

「そうですね」


それから35分後、

あたし達はお風呂から出て、髪の毛を乾かす。

「りりあちゃんの髪の毛サラサラだね」

「そうですか?ことりさんの方がサラサラで綺麗ですよ!」

「ん〜そうかな?」


「あの、ことりさん!」

あたしは、お風呂に入っていた時にことりさんが恥ずかしがってた理由を聞くために質問をしようとした。

「どうしたの?」

「なんでお風呂に入ってた時、

あんなに照れてたんですか?」

「……あんま気にしないで」

ことりさんは恥ずかしそうに言った。

「じゃあ、気にしません」

あたしが笑って言うと、

ことりさんは安心したような顔をした。


互いの髪を乾かし終わり、歯を磨き、

寝る準備が整った。

「私は床で寝るから、

りりあちゃんはベッドで寝て良いよ」

「床だと寝心地悪いですよ

ベッドで寝ませんか!!」

「いや、でも狭いし…」

ことりさんが照れくさそうにする。

「結構広いですけど」

「…じゃあ、一緒に寝る?」

「はい!」


ことりさんのベッドはかなり広い。

三人ぐらい寝れそうな広さだ。

なのに、なんでことりさんは遠慮してたんだろう。

「おやすみ、りりあちゃん」

「おやすみなさい!ことりさん!」

私がそう言うと、ことりさんはにっこりと笑った。

ことりさんと一緒に居れる時間が

ずっっと続けば良いのに。



朝、目が覚めるとリビングから良い匂いがした。

隣で一緒に寝ていたはずのことりさんが見当たらない。

ことりさんはあたしより早く起きて、

リビングにいるみたいだ。

あたしはリビングに向かった。


「おはよう、りりあちゃん」

ことりさんは眠たそうな顔をしてあたしを見た。

「おはようございます、ことりさん」

「ずっと気になってたことあるんだけど、

いいかな?」

「なんですか?」

「タメ口でいいんだよ、りりあちゃん」

「でも…」

「私に対してタメ口にしないと、

朝ご飯を食べさしてあげないよ?」

ことりさんは意地悪な顔をした。

「ことりさん、これでいい…?」

あたしが恥ずかしそうに言うと、

ことりさんはニヤッとした。

「うん、それがいい」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る