11 おやすみ、ことりさん

「りりあちゃんが着れそうなサイズの服

持ってくるね、座って待ってて」

ことりさんは急ぎ足で服がある部屋に向かった。

「ここがことりさんの…家…か…。

神聖な空気だ…」

あたしは、ことりさんが戻ってくるまで、

座ったまま部屋を見渡す。

ことりさんがいつも座ってそうな椅子、ことりさんが勉強をするときに使ってそうなシャープペンシル…

なんて思っていると、

ことりさんが服を持ってきながら部屋に戻ってきた。


「ごめんね、遅くなっちゃって。」

「大丈夫です、ありがとうございます!」

私のお腹の音が鳴る。

「あはは、もしかしてお腹空いてる?」

「あ、まぁ…」

「ちゃちゃっとオムライス作るから待ってて!」

「なんか、あたし…待ってばっかですね」

「私がしたくてしてるの。

そんなに気にしなくてもいいよ、りりあちゃん」

ことりさんは微笑む。


それから15分後、

ことりさんがスプーンと出来立てホヤホヤのオムライスを机に置いた。

「よし、食べよう。りりあちゃん」

「そうですね!」

「いただきます」

「美味しいです!!」

「なんせ、カフェ店員だからね〜

料理するのは得意なんだよね」

ことりさんは自信満々に言った。


「お腹いっぱいです〜」

「ちょっと作りすぎちゃったかも。

張り切りすぎちゃった」

「美味しかったらなんでもいいんですよ」

「うん、そうだよね!」

ことりさんはニコニコと笑う。


「ねぇ、りりあちゃん。ゲームしない?」

「いいですね、それ!

なんのゲームするんですか?」

「スマプラとかどうかな?」

「あたし、それやったことあります!」

「じゃあ、しよっか。」

ことりさんは、ゲーム機を用意し、電源をつけ、

ゲームを起動する。

何回かことりさんがプレーした記録がある。

一勝30敗…

どうやら、ことりさんはスマプラが苦手なようだ。


「負けないよ!りりあちゃん」

「あたしこそ、負けません!ことりさん!」


「りりあちゃん、強いね…」

「ことりさんが弱いだけです」

「…なんだか眠くなってきたな」

「少し寝ますか?」

あたしが言った時には、

ことりさんはあたしの膝の上で眠っていた。

寝顔が可愛い…いやかっこいい…?

可愛い。ただそれだけだ。


ことりさんの寝顔を見ていると、

私も段々と眠くなってきた。

少し寝てもいっか…少しだけ。




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