第4話 【癒し】俺の推し、うずめちゃんしか勝たん!【日常】
『みんなー、こんうずめ~』
:こんうずめ~
:エロかわ~
:おまわりさん、コイツです
:今日もいい揺れしてるね
:通報しますた
皇さんがバイト先に襲撃してから、数日後がたった。
俺は今日も天野うずめの配信を見ている。
いろいろとあったものの、本来の推しであるうずめちゃんを応援しないわけにはいかなかった。
大学も始まり、バイトもしていく日常が戻ってきている。
もしかしたら、うずめちゃんが神様なのではというのがウソと思えてくるほどだった。
「今日もうずめちゃんは可愛いなぁ……」
自分のデザインしたキャラなのに可愛いとほめる自分自身がちょっと気持ち悪いと思う。
『みんなに聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
:いいよ、おじさんに教えて
:すごく変態臭いのがいるw
:どうしたの?
雑談をしていた、うずめちゃんが急に首をかしげて訪ねてきた。
モデルの設計はしていないはずなのに自然な動きができるのは神の御業というやつなんだろうか……。
『夏に向けて新衣装を作ろうと思っているんだけど、浴衣と水着どっちがいいかな?』
:うずめちゃんのみ、みじゅぎ、ハァハァ
:今の衣装とさほど変わらない気がする定期w
:それな!
:あえてスク水とか萌える!
:普段が肌色多めだから浴衣もあり!
うずめちゃんの問いかけにコメント欄が盛り上がった。
俺も実際描くとしたらどっちがいかといわれたら、正直悩む。
『じゃあ、アンケートつけるからどちらか選んでね♪』
うずめちゃんがアンケートを立ち上げると、投票が競い合うかのように進んでいった。
――10分後
『結果はっぴょー!』
:8888888
:これはなかなか
:面白い結果だな~
:今回漏れたほうもいずれみたい
『結果は……浴衣になりました! 配信が終わったらサルヒコママに相談して、7月か8月にはグッズで出せるように事務所にお願いしてみるよ!』
:なん……だと……
:うずめちゃんの大発表やばすぎるw
:これ配信だけじゃなくて、トゥイッターとかに流さなきゃいけない奴じゃね?
:ポロリきちゃった
:通報しますた
「ぶふぅ!! げほっげほっげほっ」
コメント欄が盛り上がっているが、俺は飲んでいたビールを噴き出して咽る。
うずめちゃんの突飛な発言に驚いてしまった。
新衣装は俺になるだろうが、グッズも含めてのデザインになると大学とバイトと平行していくには時間がキツイ。
もちろん、報酬がもらえるのでバイトを減らすという手になるだろうが、いくらになるかがわからないと予定が立てづらいのは事実だ。
「月城さんに確認のメッセージ入れようかな」
トゥイッターの事務所アカウントにDMを送り、配信でうずめちゃんが話していたことの裏どりをしようと動く。
天原さんは役に立たないので、月城さんを名指しして俺はDMを書き込んでいった。
◇ ◇ ◇
『サルヒコママ、こんばんわ! 配信みてくれていたなら、相談内容わかるよ……ね?』
俺の作業用パソコンにはうずめちゃんが写っている。
ZUUMで繋いで見ているが、不思議な気分だった。
俺、課金しないでこんなことをしてもらっていいのだろうか?
『サルヒコくーん、おーい、生きてるか―い?』
しかし、天原さんが一緒だったので、俺のテンションは一気に下がった。
「浴衣に決まりましたけど、デザインの希望とかうずめちゃんありますか?」
『私はサルヒコママにお任せかな? 浴衣なんて初めて着るし、あ、髪型は今のものよりアップにしたものにしてほしいかも!』
「今後お正月用のデザインもあるから、盛りすぎずにシンプルな感じで描けばよさそうですね」
うずめちゃんからのリクエストをメモ帳アプリに書き込んで、参考画像のリサーチをしていく。
うずめちゃんの浴衣はとにかく可愛くしていきたい。
ピンク色の髪をしているから、浴衣の色は落ち着いた色合いのほうが似合うはずだ。
『あー、サルヒコくん。グッズとしては是非、抱き枕を作りたいから合わせてそちらのデザインも頼むよー。デザイン費用は相場通りで考えてるから、遠慮なくね。完全受注生産で大儲けさ、ふっふっふっ』
「ぶふっ!? 何考えてるんですか!?」
真面目にデザインを考えようとしていた俺に天原さんが爆弾を投げつけてくる。
抱き枕って、抱き枕だから表面は普通でも、裏面は結構はだけた雰囲気にしなきゃいけないわけで……。
脳内でうずめちゃんが恥ずかしがってベッドで浴衣をはだけさせている姿を想像し、固まった。
『サルヒコママの……えっち』
ぼそりとしたうずめちゃんの呟きで、俺の心が砕けた気がする。
全部、この
俺は心でさめざめと泣きながらデザイン相談を続ける。
(さっきの、エッチって言葉。ASMRで聞いてみたいなぁ……)
顔を赤くしているうずめちゃんを見ながら、結局エッチなことを考えてしまっていた。
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