第10話 レベルアップ
魔石を回収して、ブランコの下のトンネルに入り、腰を下ろした。
体力的な疲れと、肩の怪我から、しばらくの休憩が必要と判断してのことだ。
腰を下ろして、ようやく配信画面を開ける。
ဗီူ103人が視聴中
aqua『頑張れ!』
76A26『行ける行ける』
じゃがもい『勝った!』
76A9『勝った!?』
76A31『勝った!』
76A28『大丈夫か?怪我は無い?』
SHIRO『クソ格好良かった』
aqua『お疲れ様です』
76A11『動けるか?帰れそうにないなら他の覚醒者に救助頼むけど』
76A38『お疲れ様。危なかったな』
76A22『めちゃめちゃ心配してたよ』
じゃがもい『死ななくて良かった~!』
76A41『危ない戦い方し過ぎ』
ぬぬぬ『休憩しなくて大丈夫?』
76A39『状況報告してください』
どうやら心配してくれていたみたいで、少し前からいくつものコメントがされていた。
「心配してくれてありがと。怪我はしたけどそんなに酷くないよ。少し休憩したら帰る」
心配してくれていたクラスメイトたちと視聴者にに向けて無事であることを示す。
並行して、少し遡りながらコメントをざっと読んでいく。
「...っていうか、同接めちゃめちゃ増えてるな!?」
76A37『100人超えてるよ』
76A22『戦闘中に増えた』
nanashi『知り合いに教えといた』
76A18『登録者も増えてるよ』
「ありがとう~!ちょっと確認してみるわ」
同接も登録者数も増えているようで、ステータス画面を開いて確認する。
ーーーーーーーーーー
姫宮 葵
Lv.2
攻撃力:12(+3)
防御力:11(+3)
体力:11(+3)
速度:10(+3)
知力:16
魔力:13
能力
【バズ・エクスプローラ】 分類:配信スキル 付与者:呑天の女神
スキルLv.3
チャンネル登録者人数:148人
アビリティ:魔法【
スキル【
ーーーーーーーーーー
「おぉ〜......お?」
ステータス画面を見て驚く。
76A14『どうだった?ワンチャンバフ量も増えてると思うけど』
「いや、あぁうん。登録者人数は148人まで増えてる。バフも+3になってるけど...」
76A14『けど?』
ステータスの、右についている(+3)というのは、バフ量のことだ。コメント数や同接によってかかるバフだ。つまり俺の攻撃力は今は15ということになる。
一方、()の左にある元の数値は、バフがかかっていない状況での、俺の数値だ。
それが、増えている。
俺のステータスは元々10未満だった。それが今は11,12だ。
そうなった理由は一番上に書いてある。
「レベルアップしてるわ…スキルレベルじゃなくてステータスの方」
76A24『え、マジで』
aqua『おぉ~』
SHIRO『おめでとうございます』
76A18『確かに結構魔物倒したしね』
76A2『ちょうどグールとゴブリン合わせて10体倒した』
76A47『おめでとう』
じゃがもい『おめでとうございます』
76A1『おめでとう』
「ありがとう~。ステータスはね、知力は全く伸びてなくて、他が2か3あがってる」
76A31『身体強くなった感覚とかあるの?』
「う~ん、どうだろ。言われてみれば、って感じ?ちょっと身体の調子いいかも、みたいな」
76A33『スキルレベルは上がってないの?』
「うん。レベル3のまま。次は150人かな?」
しばらくの間、コメントと会話をする。
体力が回復したあたりで、立ち上がって公園を後にした。
暗くなる前に学校に戻りたかったからだ。
道中、グール3体とゴブリン1体を倒し、学校の前に戻ってきた。
「ということで、初めての配信はここで終わりたいと思います。見に来てくれた人、コメントしてくれた人、ありがとうございました」
aqua『おつかれ』
SHIRO『お疲れ様でした』
「良ければチャンネル登録と、このチャンネルの拡散よろしくお願いします。ではまた次の配信で~バイバイ」
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「「「おつかれ~」」」
「「お疲れ様」」
A組の教室に戻ると、クラスメイトたちが激励の声をかけてくれた。
「ありがとう」
「どうだった?」
「怪我大丈夫?」
「魔物怖かった?」
「戦闘どうやったか詳しく教えてよ」
「配信緊張した?」
コメントで逐一やり取りしていたが、やはり生で話したいことが沢山あるのだろう。
みんなが一気に話しかけてくる。
人気者になったみたいだ。
用意してくれた椅子に座って、返事していく。
配信のこと。
能力のこと。
魔物のこと。
戦闘のこと。
ダンジョンのこと。
今日の配信を振り返るように、みんなと話していく。
俺のYourTubeのチャンネルを見ると、アーカイブが残っていたので、それをパソコンで再生しながら、みんなで盛り上がる。
「ここの戦いガチで危なかったよな」
「めちゃめちゃ緊張した~」
ダンジョン前の公園での動画を見ながら、クラスメイトが行ってくる。
「おぉ〜」とか「あぁっ!」とか声を上げながらみんなが反応する。
「あぶねぇ~」
「ほら、ダンジョンに入ったからこんな危険な戦いに...」
「お前も最後は賛成してただろ」
「でもこの戦闘のおかげで人めっちゃ増えたよ」
「レベルも上がったしね」
「無事だったしいいんじゃない?」
「結果論でしょ」
やはりゴブリン四体との戦いは相当不安視されていたようで、その原因となったダンジョン突入の是非を問う声があがった。
「でもダンジョン内の動画撮影できたし」
「世界初だよ!世界初!」
「この動画が世間に見つかったらな〜話題になるで~」
そうだ。そのためにダンジョンに突入したのだった。
その目的は十分果たせたと言っていいだろう。
「いやいや、そんなに甘くないでしょ」
「お前も顔がニヤけてるぞ」
「バズるかなぁ、バズるといいなぁ」
みんなが思い思いに言葉を口にする。
これでネットに話題になれば、死にものぐるいで戦った甲斐が有るというものだ。
俺も心の中でのバズりますように、と願った。
結論から言うと、この配信はそこまで話題を呼ぶことは無かった。
一部の人達に見つけて貰えただけ。
しかしこの配信は、新たな出会いを俺の元に運んで来るのだった。
第10話 レベルアップ
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