第5話 合法レベリング




その後、俺たちの仲間探しの結果をクラスのみんなに話したり、能力についての話し合いをしている とのもう一度ステータス画面が修正された。


といっても、能力が変わったわけじゃない。


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能力

【バズ・エクスプローラ】 分類:配信スキル 付与者:呑天の女神

スキルLv.1

チャンネル登録者人数:48人

アビリティ:無し

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チャンネル登録者人数がステータス画面に表示されるようになったのだ。


おそらく、自分のYourTubeアカウントで確認できる「チャンネル登録者数」と、スキルレベルアップの参照にされる「チャンネル登録者」に差が生じたため、分かりやすくなったのだろう。


呑天の女神はどうやら優しいらしい。


というか、


「あれ、人数増えてね?」


誰かが呟いた。


そうだ。確かに増えている。

うちのクラスは47人。全員がチャンネル登録していたため、47人は元々いたが、それから1人だけ増えている。


「botか?」

「botなら『人数』は増えないでしょ。そう改変されたんだから」

「誰かがたまたま登録したんじゃない?外国人とかも有り得るし」

「確かに。僕も自分のチャンネルの登録者数二人いるんだよね。なにも動画をあげていないのに」


クラスメイトたちが好き勝手推測する中、俺は声をあげた。


「いや、これは多分...」

「多分?」

「仲深迫じゃないかな」


俺の推測に黒川が納得の声をあげる。


「あぁ、確かに。説明した時にチャンネルも見せたしな。登録してくれたのかもしれない」


俺たちの考えを聞いたクラスメイトたちからも納得の声があがる。


「なるほどな」

「ってか、それだったらさぁ」


声を張り上げて提案してきたクラスメイトに、何人かの視線が集まる。


「ほかのクラスのヤツらとか、この学校にいる人たちに、登録してもらうよう直接お願いしに行けばいいんじゃない?」


と、至極真っ当な意見を出した。


「確かに」

「言われてみれば…」

「逆に、なんで脱法レベリングの前にこっちを思いつかなかったんだよw」


そうだ。

もっと単純なところに答えは転がっていたのだ。


避難所で必要になる資源や食料は、覚醒者がダンジョン内から持ち帰ってくるものも多い。

その都合上、覚醒者の活動はかなり優先され、非覚醒者は覚醒者に協力的なの人が大半だ。


まぁクラスメイトのコイツらがより協力的なのは、仲間意識と持ち帰った食料の融通を期待してのことだろうが。


そういう暗黙の了解があるので、クラスメイトじゃなくても、理由を説明して頼めばチャンネル登録くらいしてくれるだろう。


「もしかしたら、また能力が改変されるかもよ?『動画を見てチャンネル登録をした人数』みたいに」

「だとしたら後出しが過ぎるだろw」

「このくらいは許して欲しいけどなぁ」

「まぁ取り敢えず試してみようぜ。全員で分散すれば結構な人数に声かけれるだろう。3時にこの教室に戻ってこようぜ」


黒川の号令で、クラスメイトたちが学校中に散らばりに行った。

俺のチャンネルの宣伝をしに行ってくれるのだ。

ありがたやありがたや...


「お前も行くんだよ。当事者だろ」

「ぐえっ」


襟引っ張るな!

首が締まる!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


15時になり、教室に戻ってきた。

俺はグラウンドに出て、学生以外の避難民に声をかけていた。

収穫は3人だ。


ちなみにこまめにステータス画面を確認して、どうなったかの結果は知っている。


クラス全員が戻ってきて、再び俺と黒川が教団に立つ。


俺はステータスウインドウをみんなに見せながら、結果を発表した。


「え〜みんなのおかげで、なんと、スキルレベルが2になりました!」


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能力

【バズ・エクスプローラ】 分類:配信スキル 付与者:呑天の女神

スキルLv.2

チャンネル登録者人数:126人

アビリティ:魔法【電撃エレクトリック

      スキル【強攻撃クリティカル

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「「「いえぇぇぇぇい!」」」


レベル2になり、新しいアビリティを2つ獲得したステータス画面を見せると、クラスから拍手と歓声が帰ってきた。


「これからどうする?しばらくこの方法で登録者数増やすか?」


歓声が止んで静まってから、黒川が尋ねた。


「もう戦いに行ってええんちゃう?戦闘アビリティ2つあったら戦えるやろ」

「戦わずに強くなれるなら、そっちの方がいいんじゃないかな?危険少ないし…」

「スキルレベルだけ上がっても仕方ないだろ。魔物倒してステータスもあげないと」

「配信もしておきたいよね」

「焦る必要はないでしょ。安全マージンが取れるなら取れるに超したことはないと思うけど」

「最初からダンジョンに潜らなくてもいいでしょ。街中の魔物を相手にしたら...」


このまま、学園で宣伝を続けて登録者を増やし、スキルレベルをあげるか。

ダンジョンに戦いに行くか。


二つの意見でクラスが分かれる。


個人的には戦いを経験してみたい。

しかし、楽にスキルレベルをあげられるなら、その手を取るべきだというのも分かる。


「えっと、どっちもやればいいんじゃないかな?」


クラスが盛んに話し合うなか、白峰が声を上げた。


「どっちも?」


クラスメイトの誰かが聞き返す。


「学校内で宣伝するのは、姫宮君がいなくても、僕らだけで出来るよね。なら姫宮君が探索してる間に僕らが宣伝すればいいんじゃないかな」


対立して議論を交わしていたクラスに、止揚の意見を投げかける。


「探索中の姫宮は見なくていいのかよ。何があるか分からないんだから配信で監視できるなら見ておくべきだろ」

「それも46人全員は必要ないでしょ?学校に残ったメンバーを分けてた姫宮君の配信を見守る人と、姫宮君のチャンネルを宣伝する人に分ければいい」

「それもそうか…」

「同接によるステータスバフも、配信を開けるだけなら宣伝組も出来るでしょう?」

「そうだなむしろ配信を見せながらの方が、宣伝もしやすいかもしれない」


対立していたクラスが、白峰の意見を聞いて熱が収束していく。


こうなれば、白峰の意見で決定になるだろう。


その後、黒川のもと話し合いが続き、白峰の意見が通った。


俺はひとまず、街中で徘徊している魔物と戦うところから始めて、それを配信する。

早速今日からだ。


俺が配信している間、クラスメイトはだいたい20人ほどが教室を出て、宣伝に行くらしい。

ただ、今日だけは始めての配信ということもあり、46人全員が教室で待機するとのこと。


その後、俺の戦い方や配信の流れを話し合ってから、ついに俺は学園の外へと向かった。






第5話 合法レベリング

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