第4話 やっと行かん!異世界へ!!!

 名前も知らんのに相手をわかるわけないと思います。


「はじめまして、斉藤光輝です」


「あら〜、私は遊びの女神フィーティルです〜」


「いや、遅くない?」


 顔はまだ赤いけど、この短い間で慣れ始めたのかリーフは余裕をもう取り戻したようだ。


「それで、リーフちゃんが欲しいっていうのはー?」


 ついさっきまでのオフザケ空気を引っ込めて聞いてくるフィーティルさん。まあ、そろそろ真面目に話を進めないとなぁ。


「異世界召喚に巻き込まれたってことは、勇者を呼ぶとか、そーゆーのだろ?」


「そうね、そーゆーのだわ」


「つまり、称号的な何かがあったりするんだろ?定番で言えば追い出されたりするんだが、例え出されようと出されなかろうと、出てくつもりなんだよね」


 例えばの話だ。

 追い出されたら、刺客が送られるかもしれない。そもそも生活できるだけの金銭が貰えるかもわからん。貰えたらいいけど、貰えなかったら?国籍も経歴も一切ない不審者とか、そのまま野垂れ死ぬんだよね。俺サバイバル知識とか無いし。

 逆に、追い出されなかったら。良くて公的に偉い立場、悪くて奴隷じゃん?極端な話しだけどね。多分異世界から英雄を呼ぶって、なにかしら対価があるはずじゃん。巻き込まれたとはいえ、その対価に見合った能力を持ってるかもしれない。逆に、対価に見合った働きをしろと言われるかもしれない。良くても悪くても面倒いじゃんよ。


 サバイバル知識ないとは言ったけど、どうせ俺、適応力神懸かってるから生きてけるし、奴隷だろうが偉かろうが、面倒くさそうじゃん。以上の理由から出ていきます。


「そーゆー時に、一人じゃ寂しいじゃん。それに、外付けの力とか信用できない。だからリーフが欲しいんだよ」


「あら〜…なら、私でもいいのかしら〜?」


 おお、愚問ですね。


「リーフ良いんだよ」


「あら〜!」


 一瞬、剣呑な雰囲気をだしたフィーティルは、即答したら大興奮し始めた。

 ジェットコースターかな。


「いいんじゃない?一緒に行ってあげても」


「でも、お仕事とかあるし、アイツ危ない人だし…」


「私が代わりにやってあげるから。リーフちゃん、一回も休んでないでしょ?長期休暇とでも思えば良いのよ!それに、斎藤くんは危なくない人よ?」


 アブナクナイヨ!


「うぅ……わかった。着いていく!」


 フィーティル説得で決めてくれたみたい。ありがとうフィーティル!

 準備してくる!と言ってリーフが何処かに行った。


「あ、そうだわ!斎藤くん、スマホを少し貸してくれないかしら?」


「どうぞ」


 なにすんだろ?


「私からの、応援と祝福よ」


 神聖さマシマシな光を放ちながら、スマホに何かをしてるフィーティル。

 祝福ですってお兄さん。


「はい、これで完璧よ!」


「何したの?」


「充電が無くならない、壊れない、どこでも使えるようにしたわ。あと、私の連絡先も入れてるから、いつでも連絡してね」


 神器的なスマホになったってことですか!?ゲームできないだろうけど、これでリーフ撮り放題!?


「おおすげえ!ありがたやー女神様!」


「ふふん!崇めなさーい!」


「ははー!」


 リーフの可愛い姿を奉納させていただきます!!


「ただいま…何してるの?」


「おかえりリーフ」

「お帰りなさいリーフちゃん」


「今フィーティル様を崇めてる」


「今の間に何があったの?」


 ふざけ甲斐があるな。


「リーフちゃんも準備できたみたいだし、そろそろ送るわよ〜」


「かしこま」


「行ってくるねフィーちゃん」


「ええ、いってらっしゃい」


 この空間に呼ばれた時みたいに、下に魔法陣が現れて、結構な光を出し始めた。

 フィーティルが手を振ってる光景を最後に、視界が暗転した。

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