第3話 影からスッと出るか、陰からぬるっとでるか

 壁は無くなったけど、まだ半径5メートル以内に近づくの禁止されてる。草。


「それで、欲しいものは?」


「わぁ冷たい」


 もろに拒絶されてて草もはえる。


「俺は言ったよ。リーフ、貴方が欲しいって」

「………」

「いや、真面目に言ってる茶化してない」


 だから逃げないでおくれ。

 今度は普段通りに言ってみたら、ゆっくり後退し始めた。


「……なんで私なのか、一応聞いてあげよう」


「わあい優しい!」


「ふざけるなら無しだよ」


 くぅー、きびちぃ!


「真面目に言うと、欲しいものないんすよね。物も別に要らんし、力も、外付けの力なんて貰っても…ねぇ?だからって何も貰わないのもあれやないすか。力もいらないとは言ったけど、無いなら無いで厳しいだろうし……で、そこで目に入ったのはその名の通り神掛かった強さを持って、でも向こうで名も広がってない、それでいて目に入れて痛くない美少女の、貴方だ」


「く…意外とまともな理由…」


「それに、俺は貴方と仲良くなりたいんだ。ノリも良いし、俺の好みどストレートだし」


「ぐぬぅ…」


 褒め言葉に弱すぎなんだよね。この神。


「べ、別に私じゃなくても、天使とかから選んだりとか…」


「リーフより良い人はいないよ」


「くにゃっ」


 耐性なさすぎワロタ。なんでこんなに褒めに弱いの?この人。


「わ、わた、わたし、かぁ…」


 なんだか真剣に悩み始めた女神サマ。制約とかそんな感じのなんかがあって難しいとかか?


「うーん………」


「あらどうしたの?」


「うひゃぁっ!」


 うんうん唸ってたリーフの陰から、ぬるっとボンキュッボンのお姉さんが現れた。

 あれ、美女の女神かな?


「ふぃ、フィーちゃん!?なんでここに…」


「暇だから遊びに来たのよ〜」


「仕事は?」


「………」


 目を逸らすフィーちゃんさん。サボりって事ですね。


「あら?その子が巻き込んじゃった子?」


「ハジメマシテ!」


「何してるのかしら……???」


 リーフが作った風の壁に乗って、宙に浮いてる俺をみながら、首を傾げてめっちゃ困惑してる。


「風壁で遊んでおりますー」


「入ってくるなぁ!!」


「ひど———っぶへ!」


 少しずつ壁の向こうに侵入してたら、思いっきりぶっ飛ばされちゃった。

 背中から落ちたよぅ。いたいよぅ。


「あら〜」


「フィーちゃん気を付けて!アレは危ない人だよ!!」


「何をしたらここまで警戒されるの?」


「ふざけすぎちゃって」


 ちょっと褒め称えただけなのに…


「ていうかそんなことは置いといて…無理なんすか?」


「む、無理っていうか……」


「んー?何がかしら?」


 閑話休題ってやつですね。


「詫び石感覚でなんでも一つ願い事を叶えてくれるって」


「あらー、何をお願いしたの?」


「私に着いて来「『貴女が欲しい』」——にゃっ!?」


「あらあらあらあら〜!つまり、そういう事かしら?」


「まあ、将来的にはそういう事にしたいが」


「へぁっ!??!?」


「あら〜!」


 顔を真っ赤にするリーフと、それをみて大興奮のフィーちゃん。

 あれ、そういえばフィーちゃんの名前知らんな?自己紹介しとらんやないかい!

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